メガトン級ムサシ シーズン3を予想する③
はじめに
今回はメガトン級ムサシシーズン3予想第3弾です。『メガトン級ムサシW(ワイアード)』の発売が既に決定し、シーズン3の物語があるというのは分かっていますが、事前情報が少ない為、予想するのは難しいです。ですが、現実世界での研究内容を元に色々考察出来るのではないでしょうか。
生物の分野を元に考察
二つの種族
二つの種族がどのように争い、分岐していったのかは以下の記事にまとめています。
今回は以前の考察からさらに飛躍した予想を一つ挙げます。それは、エルゼドとカムウが共通の祖先から分岐したというものです。『メガトン級ムサシ』本編では地球人とシドル人の混血が確認されました。地球人はエルゼド、シドル人はカムウから進化した可能性があります。エルゼドとカムウは別種でありながら近縁であり、共通の祖先から分岐したのではないかと考察します。
人類の歴史
猿人→原人→旧人→新人、と人類は一方通行に進化していったという図を教科書で見たことがありますか?人類の進化はそのようにされたというイメージがありますが、実際はそうではなく、共通の祖先から分岐していったというのが正しいようです。今でこそ人類(ヒト属)と呼ばれる種はホモ・サピエンスしか残っていませんが、かつては様々な種が存在しました。
以前までは旧人と呼ばれたネアンデルタール人ことホモ・レアンデルターレンシスは、かつてはホモ・サピエンスが発生する前に存在したと思われていましたが、実は共存していました。
種は既に滅んでしまいましたが、実はホモ・サピエンスと交雑しており、人種や地域によって割合は異なりますが、サハラ以南のアフリカ人以外の人類にネアンデルタール人のものとされる遺伝配列が確認されたそうです。交雑が確認された事から、ネアンデルタール人はホモ・サピエンスの亜種(ホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシス)と考える専門家も居ます。
また、ネアンデルタール人だけでなく、デニソワ人というグループもホモ・サピエンスと交雑していました。
ウイルスとヒトの関係
ヒトがウイルスの遺伝子を取り込んだという話はご存知ですか?ウイルスは単独で自己複製せず、他の生物の細胞に侵入して増殖します。単独で自己複製が出来ないという理由から、ウイルスは生物でないと考える専門家も居ます。
生物にはタンパク質を複製する機能が備わっています。生物の設計図であるDNAは二重らせん構造になっていますが、タンパク質が複製される際に一部が解けます。解けた部分の塩基配列がmRNA(伝令RNA)によって転写(コピー)され、細胞内にあるリボソームに移動します。RNAのはAとU(DNAだとT)、GとCといったように対となる組み合わせが決まっているので、片方の情報に対応する組み合わせを作れば良いわけです。
tRNA(運搬RNA)によってコドン(アミノ酸を特定する3つの塩基配列)に対応するアンチコドン(コドンの対となる3つの塩基配列)が運搬されて結合し、アミノ酸が完成します。そのアミノ酸同士が更に結合し、タンパク質が完成します。その仕組みをウイルスは利用しているという訳です。
実はヒトゲノム(ヒトの遺伝配列)の中にウイルス由来と思われる配列が見つかりました。それはウイルスに感染したという証拠であり、それを逆手にとって利用した痕跡でもあります。
シドル人は昆虫の特徴を持っていますが、もしかするとそれは昆虫の遺伝子を取り込んだからなのかもしれません。ただ、ウイルスと昆虫は自己複製の仕組みが異なるので、偶然の産物か人為的に組み込んだのかもしれません。後述する遺伝子組み換えや遺伝子編集の技術を使えばそれは可能です。
遺伝子の突然変異
タンパク質の複製に利用されているDNAの遺伝情報は、生物の設計図として親から子に受け継がれます。しかし、紫外線や化学物質などによる外的要因によって変化(コピーエラー)が発生する事があります。突然変異は修復されますが、稀に子孫に受け継がれるケースがあります。その場合、親とは異なる形質が子に発現する場合があります。
近縁種と亜種の話
近縁種と亜種は、ともにある種とは異なる特徴を持っていますが、遺伝的には差があります。
近縁種は分類が同じでありながら別の種の生物で、同一種の亜種は特徴が異なりながらも同じ遺伝子を持つ生物を指します。ある種と異なる特徴を持っていたとしても、遺伝子が遠いか近いかによってかなり差があるという事です。亜種との交配は比較的簡単ですが、近縁種の交配は細胞融合等の特殊な技術でないと難しくなります。
今まで私はシドル人を地球人の近縁種だと考えて考察してきましたが、ネアンデルタール人の例を考えると、亜種である可能性もあります。ただ、現代の人間同士の差異が0.1%に対し、人間とシドル人の差異は1.4%とかけ離れているので、やはり異なる種と捉えた方がいいですね。
異種間交雑
前記した突然変異の他に、異種間の交雑によって新たな性質の種が発生する事があります。また、その仕組みを利用し、生物の育種に利用されています。
造りが比較的単純な植物は遺伝的に遠縁な組み合わせでも人為的に交配出来ますが、それにも限度があります。組み合わせによっては雑種の染色体に異常が発生し不稔(子孫を産めない体質)になり、運良く子孫を残せたとしても雑種の形質が受け継がれるかは分かりません。その場合、戻し交配といって片方の親を交配し、生まれた個体の選抜を続けることによって形質を固定する育種方法があります。
遺伝子組み換えや遺伝子編集によって特定の種の形質を直接取り込む方法もあります。この方法だと遺伝的に遠縁の種の形質を取り込むことが可能で、育種が早く終わるというメリットがあります。その一方で比較的新しい技術である事から長期に渡る健康や環境への影響が不明な為、安全性に問題があるのではないかと疑問視されている技術でもあります。
倍数体と異数体
異種間交雑によって不稔が発生する理由はいくつかありますが、その一つに染色体の異常があります。染色体異常の個体は主に二つあり、倍数体と異数体と呼ばれています。
生物の染色体(ゲノムをnと表す)は2つで一対(2n)と決まっていますが、二対以上ある個体(3n以上)が生まれることがあります。そうなった生物を倍数体と言います。倍数体の生物は通常の個体よりも大きくなる傾向があり、人為的に育種されています。
同じ理由で染色体の本数はnの整数倍(2nだと2倍、3nだと3倍)になりますが、突然変異によってその数値よりも本数が増減する事があります。そういった個体を異数体と言います。異数体はコムギ等の植物では見られるそうですが、動物で起きた場合は不稔や疾患などの異常の原因になるそうです。
単為生殖が可能な植物や魚類、両生類の一部には自然界に倍数体の種や個体が存在しますが、高等哺乳類には存在しません。マウスの実験で人為的に造り出すことは可能ですが、人間の場合、染色体異常が発生すると流産や子の疾患の原因になるそうです。
哺乳類はゲノムインプリンティング(ゲノム刷り込み)という仕組みによって単為生殖が出来ないという話は以前しましたが、それは意図せぬコピーミスを防ぐ為の仕組みなのかもしれません。何故このような仕組みがあるのかは不明ですが、哺乳類は生殖の仕組みが複雑なので、もしかすると遺伝子に鍵をかけているのではないかと推察してしまいます。
未来の今後
調べた事を踏まえると、シドル人と地球人の雑種である未来が心配になります。今の所生育には問題なさそうですが、地球人とシドル人が遠縁ならば染色体の本数に異常が発生し、子孫が作れないかもしれません。前記した古代に起きた人間の交雑種も不妊が多かったそうです。現代の人間同士よりも遺伝子がかけ離れていたため、そのような事が起きたそうです。
また、仮に子孫を残せたとしても性質が受け継がれるかは分かりません。雑種同士を交雑させたとしても、全ての子にその形質が受け継がれる訳ではありません。
F₁(雑種第一代)の形質を持つ個体を増やすにはいくつか手段があります。
①同じようなF₁を作り続ける(例:F₁作物)
②F₁のクローンを産み出す(例:ソメイヨシノ等)
③F₁を戻し交配し、形質を固定する(米の育種)
ですが、育種と同じ考え方で人間同士の交雑を考えるには無理があります。
古代の人類は集団での移動や他集団との交雑により、遺伝子を均質化していったそうです。人類(ヒト属)と呼べる種はホモ・サピエンスしか居ませんが、そのホモ・サピエンス間でも交雑が進みました。
同じような原理で長い時間を掛けて地球人とシドル人が交雑を繰り返し、二つの種の遺伝子を持つ『新人類』が地球に定着する日を気長に待つのがいいのかもしれませんね。シドル人が地球に定着するなら、近い種である地球人と共存しなければなりませんからね。
ただ、生物学に精通しているはずのレイダー博士が、シドル人と地球人の交雑は神の関与を疑う程に信じ難い事実だと話していたので、二つの種が本当の意味で一つになるには何千年何万年と長い年月が掛かるかもしれませんね。
(それにしてもエフィンロアは未来が持つ形質の種を増やすところまで考えているのでしょうか…)
『メガトン級ムサシ』本編では、レイダー博士が未来の遺伝子でワクチンを作ると話していました。重症化を防ぐためにウイルスの遺伝子の一部を取り込むワクチンは既にありますが、それを人間に近い種でやるというのはどうなんでしょうか。効果や副反応が気になります。
銀河帝国エルゼド
アダムとイブ、そしてエフィンロアが属する陣営『銀河帝国エルゼド』は未だに謎に包まれていますが、シドルを星ごと滅ぼす程の軍事力を持っています。『銀河帝国』と名乗っているのならひとつの星、ではなく複数の星から成り立っていると考えるのが自然でしょう。その中には、もしかするとエルゼドが侵略し、奴隷となった星も存在するかもしれません。
(ここからは『妖怪学園Y』のネタバレが含まれます!!)
『メガトン級ムサシ』のレベルファイブが以前制作した『妖怪学園Y』という作品があります。その中には、『N星人』と呼ばれる宇宙人が存在し、地球を侵略しようとしていました。その『N星人』の正体は、マゼラという存在に侵略され、奴隷や兵士になった異星人の軍隊です。
また、異星人の先祖は、かつて地球にアトランティスという優れた文明を持っており、破滅から逃れる為に宇宙へ進出しました。
『銀河帝国エルゼド』は『N星人』のように様々な星を侵略した可能性があります。マゼラはある星は星ごと喰らい、またある星は侵略して住民を兵士として利用していました。エルゼドもカムウの派生種に同じ事をしていたかもしれませんね。
改めてシーズン3を予想する
『メガトン級ムサシ』シーズン3は古代の地球の物語が明かされるのではないかと予想しています。その中でキーパーソンとなるのは、今回の考察のメインである浅海未来です。彼女はシドル人と地球人の混血児で、古代に争ったエルゼドとカムウの両方の遺伝子を持ち合わせています。二つの種族は何故争ったのか、何故エルゼドはカムウの派生種をここまで憎んでいるのか、それが明かされる日を待ち望んでいます。
あとがき
今回は現実世界の研究や育種を元に異種間の交雑を考察するといった内容でした。フィクションではロマンだとされていますが、それを現実にやろうとするとロマンだけでは片付けられない問題が出てきましたね。人間の異種間交雑はフィクションの中で楽しむのがいいかもしれません。
しかし、生物の進化は突然変異と交雑の繰り返しの賜物なので、全く有り得ない話でもありません。いつか人類も進化し、新たな種が現れる可能性は充分にあります。
そして、改めてシドル人とは何者か疑問に思いました。かつて地球を離れた兄弟は、長い年月を経て里帰りしました。外宇宙の環境がシドル人を大きく進化させたのでしょうか。それとも、この世界の地球人がエルゼドとカムウに分岐した地点で、その運命は決まっていたのでしょうか。
地球人とシドル人の遺伝子の差異が1.4%と聞いた時は近いと思いましたが、今回の考察を踏まえると、2つの存在は想像以上にかけ離れた存在なのではないかと考えてしまいます。
現実世界の生物の分野の研究は日々進んでいます。過去の常識が今では非常識、なんて事も起こり続けています。専門家の研究というのは遠い世界の出来事のように思いますが、科学技術を当たり前のように享受するようになった現代ではそうはいきません。
『メガトン級ムサシ』というフィクションの考察を踏まえて、私は現実の様々な研究内容を知りました。これからも続けていこうと思います。今回の考察はなるべく分かりやすくしたつもりですが、私の理解が合っていない可能性も充分にあります。その場合はご指摘を頂けると有難いです。
それではまた、次の考察で会いましょう!
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