職員室の内側4ー大学入試に翻弄される教員たち2ー
高校の中堅校では年内入試を希望する生徒は学年全体の25〜30%にもなる。年内入試と言っても総合型選抜、学校推薦型(指定校)、学校推薦型(公募制)がある。総合型選抜は生徒自身の自己推薦が重要であるので、志望理由書や自己推薦書、学修計画書の作成に主として担任が関わることになる。大学によって書式は様々であるので、それに応じた対応をしなければならない。さらに面接対策も必要となる。指定校推薦は高校に対して大学側が学部学科、応募条件・応募可能人数を指定してくるもので、高校から推薦すればほぼ合格するため生徒や保護者の人気は高い。特にGMARCHとも言われる難関私大は校内選考で生徒同士が競合することも多い。指定校はほぼ合格が約束されているが、推薦書、面接指導は必要となる。指定校は大学側が1学期に募集要項を送付してくるのであるが、大学によって募集要項、出願条件、出願書類が異なるため、これを整理して一覧表を作る進路指導部の作業は手間のかかる仕事である。公募制は、推薦書、面接指導に加えて小論文指導が必要となる。面接指導は模擬面接を数回、小論文指導は添削指導を複数回実施することが多い。2学期の中頃から、担任や進路指導部の教員の放課後はこれらの指導に忙殺される。そのため授業研究は勤務時間を過ぎてからとなる。
大学入試の前倒しが進んだ結果、教員の仕事も多忙化している。本来大学受験は生徒本人の問題であるはずであるが、教員が強力にバックアップしなけければ出願、試験への対応もできない現状である。
大学入試は高校側の出口保証であるため、出願段階で非常に神経を使う仕事である。教員のミスによって大学に出願できなかったり、出願条件の読み違いなどはあってはならない。授業や部活動指導も行う教員がこれらの負担や責任を負うことには無理があるのではと感じている。
次回も大学入試に関わる具体的な事例や問題点をレポートしたい。