職員室の内側2-観点別評価Ⅱ
観点別評価はテストのみでは知識・技能、思考力・判断力・表現力しか測ることができない。3点目の学びに向かう意欲を測るのは難しい。多くの教員は提出物の提出状況で測定しようとしている。客観的に評価できるものはこれしかないのかもしれない。したがってテストでよい点をとっても、提出物が出ていないと観点別評価の学びに向かう意欲はC評価をもらうことがある。Cがひとつあると全体評定は5をつけることはできない。この点が以前の評価方法と違ってくる。逆に言えば、テストは多少悪くても、提出物をとにかく出しておけばよい評価をもらうことができる。また思考力・判断力・表現力を測るテストを作ることはけっこう難しい。教員たちは自分のテストの基礎部分と応用部分を分けて、それぞれの学力を測定するようにしている場合が多い。採点もやや面倒になるが、本当に思考力・判断力・表現力を本当に測定できるか疑問も残る。このように観点別評価は教員にとってかなり手間と時間がかかる作業となっている。文部科学省の狙いは、生徒を多面的に評価することと教員の授業改善だと思われる。では教員の授業は変わっているのか? 答えは残念ながら多くの高校の授業は以前とあまり変わっていない。依然として言わゆる”チョーク&トーク”の一方通行講義型が多い。
生徒の思考の畑を刺激し、自主的な学びを促すような授業は主流とはなっていない。これは教員の努力不足の面もあるが、十分に研修を受け、授業研究する時間がないことに大きな原因がある。また知識依存型の大学入試の存在も大きい。観点別評価は日本の教育や教員のあり方の変革を意図しているが、現状では教員の負担を増やすだけという結果になっている。
テスト終了から成績会議まで、多くの教員は気を遣う長時間労働を強いられていると感じます。次回は煩雑な大学入試手続きに忙殺される様子についてレポートします。