職員室の内側16-探究学習③~効果的な探究学習案~
探究学習③~教員の働き方改革にかなった探究学習メソッド私案~
今回は探究学習の進め方の一例を提案した。2年間で最終的には生徒個人が自分が定めたテーマについて探究学習をしてひとまとまりの論文を作成すること。探究学習の成果発表会を実施することをゴールとした。
●探究学習実施の前提
・教員間の探究活動についての共通理解・・最低1回は研修会を実施する
・教員の探究活動についての研修機会の保障・・教員も外部で学ぶこと
・外部機関との連携 ・・大学 企業 地域行政機関 NPO・NGO
・生徒用の探究学習教材を用意・・既成のもので可
あまり高度でなものでなくて良い
生徒用のワークシートがあること
・探究担当教員を分掌の中に位置付ける・・学年や特定の教員に依存しない
●問を設定するまでの工夫 ――生徒の視野や関心を高めるインプット
〇自己の興味関心から問を設定し、ワクワク楽しく、探究学習を進める(思考力・判断力・表現力の育成)
〇文理を超えた融合的な学び
〇探究学習を通じて、生徒の学ぶ意欲や自主性を育てる→ キャリア形成へつなげる
●1年の活動 (HR単位 学年単位)
・・リベラルアーツ(教養主義)を身につける
・・探究の型を学び
・教科学習(リベラルアーツの基本)・・基本は全ての授業にある
・放課後講座や校外学習(外部からの刺激)・・教員以外からの学び
・読書活動・・図書館との連携は重要
・生徒の視野を広げるための講演会やワークショップ(インプット)
・新聞記事、ニュース検索 発表活動(インプット+アウトプット)
・・朝のSHRやLHRで世の中の話題について学び、発表し合う
・探究のスキルを身につける指導(インプット)
・・思考法 分析手法 調査方法・・探究の時間で育成する
+キャリア教育による視野の拡大・・探究活動はキャリア教育と位置付け
(職業インタービュー 大学出張講義 進路ガイダンス等)
↓
地域課題やSDGs、企業の講演後、グループで探究活動
(インプット+アウトプット)
調査内容をpptやポスターで発表・・探究の型を学んで実践する
↓
個人の「問」「テーマ」を見いだすためのワーク
身近な問いから 「問の30本ノック」など
↓ ・・ 過去の生徒の論文閲覧
小グループで対話的活動を通じて「テーマ」を設定していく
生徒同士や教員との対話を通じて探究可能なテーマに絞り込んでいく
●2年の活動 (ゼミ単位 学年単位 HR単位)
・ゼミに分かれる ・・担当教員+TA (ティーチングアシスタント)
1つのゼミの人数は15名程度まで
ゼミ員同士の対話や発表を通じて探究テーマを深堀する
・・リサーチ&クエスチョン
・キャリア教育との連携・・進路ガイダンス 大学出張授業 大学訪問
アドミッションポリシー研究
・調査探究活動
先行研究 文献調査 フィールドワーク アンケート調査
Google scholar CiNii で先行研究を読み込むことが重要
↓
ゼミ内で中間発表 例)ppt ポスター
文化祭等での成果物展示なども生徒の動機付けに役立つ
・論文作成スキルの習得 (インプット)
統計データの処理 論文の形式 参考文献の処理
プレゼンテーションスキル・・より論理的な論文作成のために必要
大学等の外部機関と連携する
・論文作成ガイダンス・・論文の形式や作成方法を指導
・論文の執筆活動 (アウトプット)
2年1月末提出→ゼミ内輪読→担当教員の評価
→優秀論文・発表代表生徒の選出
・探究成果発表会(3月)(アウトプット)
代表生徒による全体発表→教員・大学教員・TA等による講評
・探究論文リポジトリ(teams上の生徒の論文を保管)
優秀論文はファイルして図書館に保管して公開
*探究論文作成過程では教員やTAによるサポートが必要となる
<探究学習の留意点>・・単なる調べ学習で終わらないためのポイント
◆テーマ設定の考え方
・知的好奇心が持てる
・高校生が検証可能である
・容易に調べられない
・社会や地域の課題解決に意義がある 学術的に意義がある
*テーマ設定の流れ
仮テーマ
↓――情報収集 先行研究 参考文献検索・・・教員やTAとの対話・助言
生徒同士でテーマについての対話活動(質疑応答)
↓――再調査活動 ・・教員やTAとの対話・助言活動
・・リサーチ&クエスチョン
「問」の洗練化
以上は一例である。最初の1年は大変であるが、探究学習の流れと教員の経験値が上がれば、大きな負担なく実施できる内容である。生徒の論文を全てが質が高いものを求めるのではなく、生徒自身がひとまとまりの内容をもつもの表現できれば一定の成果があり、生徒の資質能力は向上すると考えることが大切である。