職員室の内側3ー大学入試に翻弄される教員たちー

年の瀬も迫り、高校は冬休みに入った。かつて大学入試は2月以降の学力試験が主流で、冬休みは受験生の追い込みの時期だった。しかし、現在の大学入試は年内入試とも呼ばれる、総合型選抜入試と学校推薦型入試が増加し、私立大学では約半数が年内入試で入学者が決定している。いわゆる入試偏差値の低い大学ほどこの傾向が強い。大学側は早期に入学者を確保したい。保護者や受験生も早く合格を確保したい。両者の思惑が一致しているとも言える。教員にとって学力試験ならば、生徒に授業や講習をして受験力をアップさせればよい。しかし、総合型選抜や学校推薦型は教員にとって大変手間のかかる入試となっている。生徒が提出する志望理由書や大学での学修計画書の添削指導、面接対策指導に加えて、学校推薦型の場合は教員が生徒の推薦書を作成しなけければならない。推薦書は分量が多いものでは1000字以上になるものもある。このように手取り足取りして、教員が生徒に時間をかけて指導しなければ合格できないのである。年内入試希望の多い中堅程度の学校では、クラスの半数が希望者という場合もある。担任や進路指導部も負担は大きく、長時間路労働の一因にもなっている。また大学への出願書類も大学によって異なるため、出願のチェックもかなり神経を使うことになっている。大学側はこうした高校側の負担を理解しているかと疑問を感じることも多い。次回の記事ではもう少し大学入試について深掘りをしたい。

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