肉体労働は美しい。妻子がいればの話だが

肉体労働をカッコ悪いようにいう奴は何なんだろう。
「この子の頭じゃ土方しかできない」――土方って滅茶苦茶スキルと頭が要ったと思うんだが自分の子供の可能性を狭めていないだろうか?
「工場勤務は高卒レベル」――工場勤務ってまず人並みならぬ集中力と手先の器用さ、段取力が必要だと思うのだが、国家の屋台骨を愚弄してなんになるのだろう。もっとも皆そう思うようにまで社会が年老いてしまったからそんな言葉が出てくるのだろうけども。
肉体労働、単純労働を40年続けるというのがとても辛いのは確かだろう。どの時代のどの民族に属する人間でもあれこれ理由を付けてホワイトカラー、すなわち貴族になりたがる。
そのうえ我々にはますます発展の余地が少ない。次々に出ているはずの新製品に新奇性はなく、ここ40年というものの人類一人当たりの食糧はこれ以上増やせていない(なかったはずだ)。これでは一日に千五百の産屋を建て地に満ちることができないではないか。
肉体労働は美しい。しかしそれは妻子がいればの話だ。妻子の為に汗水を垂らす、これこそサピエンスのオスのすべて。けれども妻子があてがわれないなら男どもはますます肉体労働を嫌がり、弱者男性と化してゆく(アラフォーパート野郎の俺みたいに)。ブルーカラーは金融マンやコンサルよりもずっと足りておらず有難い存在であるにもかかわらず、大変な割に平等であるはずの近代国家において差別されるがゆえに大の男皆がホワイトカラーに群がる社会から戻れなくなる。誠に国家社会の老化也。


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