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「2,829,416」
この数が何を表すかわかるだろうか?
この数は、2019年6月末時点で日本に暮らす外国人の数である。(出入国在留管理庁)(https://university.globalpower.co.jp/2093/)
日本総人口1億2600万人の約2%を外国籍の方々が占めており、過去最高の数値である。
2%と言われても多いか少ないかイメージしづらいかもしれないが…。
例えば、首都圏に暮らす人にとっては、飲食店やコンビニエンスストアなどに行けば外国人スタッフの方が働いていて、外国人に会わない日は無いほど身近な存在となっていないだろうか?
少子高齢化が進行する日本社会において、もはや外国人材が必要不可欠な存在となっていることは紛れもない事実であろう。
「移民政策をとることは断じてありません」というスタンスを取り続ける安倍政権ではあるが、実態は「世界第4位の移民大国」である。我々は既に、多様なバックグラウンドを持つ人々と共に社会を作り上げていく「多文化共生時代」に身を置いているのだ。
さて、一般社団法人アジア教育交流研究機構(AAEE, Asia Association of Education and Exchange)は、2008年にアジア地域の学生交流・教育交流を積極的に推進することを目的に、前身、アジア教育交流研究会(2013年法人化)として発足した。
当時の日本社会で求められていたのは、「グローバル人材」の育成。国際競争力の低下に焦った日本は世界の舞台で活躍できる人材育成教育に力を入れ、積極的に留学支援や教育の国際化政策を打ち出した。
AAEEも当時はグローバル人材育成をイメージし、「国、地域、文化の違いを超えて、共通する問題に他者とコミュニケーションをとりつつ解決策を模索できる」人材育成に向けて「AAEEメソッド」を考案した。それ以降12年間、このメソッドに基づいてアジア地域の学生を中心とした国際交流、多文化交流を主に東南アジア、東アジア地域にて続けてきた。
具体的には、日本の学生とアジアの学生が約2週間寝食を共にする交流型国際学生共修プログラムを、これまでベトナムやネパール、タイで28回開催し、参加学生の総数は500名に迫る。
プログラム後に参加者に書いてもらっているプログラム報告書も膨大な数になった。
AAEEが発足して10年経った2018年の日本社会。
国際競争力の低下が現実となり、少子高齢化先進国であるため労働力不足が問題となった。そこで救世主として求められたのが「外国人材」。
結果として2018年12月出入国管理及び難民認定法(入管法)。日本社会にとっては歴史的とも言える法改正がなされた。
そして現在、2020年の日本社会。
冒頭にも述べたが約280万人もの外国籍の人々が日本で暮らしている。この急速な変化に日本社会が上手く対応できたかと言えば様々な疑問符がつく。在日外国人から寄せられる声に真摯に耳を傾ければ、多くの問題点が残されていることは明白である。
「グローバル化」や「国際化」といったAAEE設立当時の日本社会のキーワードは勢いを失い、新たに台頭してきたのが「多文化共生」である。多文化共生社会の到来は、私たちが、日本社会においても様々なバックグラウンドを持つ他者と共存せねばならないと言う事実を一般市民にも顕在化させた。約10年前、世界に「飛び立つ」ようなグローバル人材にのみ求められていた資質はもはや、すべての市民が身につけるべきものに変容を遂げたのである。目の前にある多文化社会との共生のあり方、今こそ我々はこのことを真剣に検討しなければならない。
このブログを通じて、
グローバリゼーションが加速し多文化共生が求められる社会の中で
私たちが身につけるべきスキルや思考法、価値観などについてじっくりと考えてみたい。その際にAAEEのこれまでの活動は貴重な資料となる。過去の参加学生の行動や活動記録報告書は、このブログの説得力を増す「宝庫」とも言える。
このブログを読む上で、大前提として持っておきたい考え方は
国籍、人種などに関係なく、人々は一人一人異なり、多様な個性がある
ということである。
「違いを受け入れ共生する社会を目指すためには・・・?」