【なぜを考える】なぜ、数字の桁は左が大きく右が小さいのか?
数字表記で不便なこと
皆さん、数字の表記で次のような「面倒くさいなあ」と思ったことありませんか?
ワープロで表を作るのに、数字だけ右寄せにしなければならない
エクセルで文字と数字が左寄せ、右寄せにわかれるのでそろえなければならない
文章中の桁が大きい数字を読むのに、右から「いちじゅうひゃくせんまん…」と桁を数えてから「にせんごひゃくまん」と読まないといけない
スーパーでおつりを計算するのに、1の位からしたいのに、「2せん…」と大きい桁の数字から言われる
筆算するのに、右から左にしていかなければならない
プログラムで右揃えで数字を書き出すため、「数字の桁数を最大桁数から引いた分のスペースを置く」という面倒なことをしなければならない
これらは、もし、左の桁が小さく、右の桁が大きければ、問題がおこらないのですが、なぜこうなったのでしょうか?
位取り記数法(算用数字)に必要な「0」はインドから
漢数字の場合は「五百三」と「百」などの桁も書くので、「三五百」と書くことは可能です。それを「503」と桁の表記を省いて簡略に書けるようになったのは、有名な「0の発見」があったからです。
また、インドで「0の発見」が行われたこともよく知られています。
しかし、インドと現代の数字表記はどう関係するのでしょうか?
インド周辺は、アラブの商人が交易をつかさどっていた
インドは、地理的にシルクロードの近くにあります。
シルクロードなど、この地域の交易の行っていたのは、アラブの商人ですが、アラブの商人が使っていた言語は、もちろん、アラビア語です。
アラブの商人のアラビア語は、右から左に読む!
アラビア語は、知っている方もおられると思いますが、文字を右から左に書く言語です。
つまり、インドで発見された位取り記数法を商売で採用したアラブの商人は、自分の言語に合うように、自然と右の桁を小さく、左の桁を大きくした、と考えらえます。
読み方も、アラビア語の場合は「さんごひゃく」と下の桁から読むので、「いちじゅうひゃく…」と桁を数えなくてもすぐに読めるそうです。
混乱を避けるため、ヨーロッパでも数字はそのまま使われた
シルクロードは、ヨーロッパから中国の間をつないでいましたが、中国は縦書きだったので、漢数字に置き換えてやりとりしていたのでしょう。
他方、ヨーロッパでは、左から右に文字を書いていましたが、アラブの商人と数量やお金のやりとりをするのに、「502」を「205」に書き換えていたら、大きな混乱が避けられません。
そのため、数字の表記は、そのままの形でヨーロッパで使われ、そこからアメリカなど、世界中でそのまま広がったと考えらえます。
日本は惜しかった~
日本はというと、中国のように縦書きだったのが、明治に横書きを始めたときには、アラビア語のように右から左に表記していました。
これは、縦書きの行送りが右から左なので、横書きにするなら、「1文字で改行した縦書き」のように右からに左に書くのが自然な流れだったからです。
しかし、脱亜入欧の中、日本語と欧米の横書きの方向が逆なのは、ややこしいので、徐々に左から右に書くように変わっていきました。(新聞社も、各社の判断で「横書きは、左から右にします」と宣言していきました)
もし、日本で横書きがそのまま右から左に書くようになっていれば、数字の表記で面倒なことはなかったのに、惜しかったと思います。
補足
ここに書いたことは、私の思考実験によるもので、歴史的に検証したものではありません。
ただ、アインシュタインが相対性理論を思考実験で生み出したように、この推測も、将来、裏付けられるかも知れません。
なにせ、算用数字は、別名「アラビア数字」と呼ばれているのですから。