ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
映画とTシャツと言うことで、初回には『パルプ・フィクション』の中に登場したTシャツ2枚と前回の第二回目は『キル・ビル Vol.1』の中で使用されたオキナワTシャツについて紹介しました。いずれもクエンティン・タランティーノ監督脚本作品と言うことで、第3回目の今回もタランティーノの最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』からのTシャツを紹介したいと思います。
■タランティーノ最後の監督作品となる?
かねてより、タランティーノは10本映画を取ったら引退すると発言をしていたようです。この『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は9本目の監督作品です。10本目の企画は『スタートレック』だと噂されていました。
私もチームのメンバーもカッコスタートレック』大好きなのです。といってもそれぞれ好きなシリーズが違っていて、私はオリジナル・シリーズの『宇宙大作戦』が好きです。子供の頃テレビで見ていたので、あの古い感じ、『宇宙大作戦』と言いつつ、ほとんどスタジオセットの中で繰り広げられるSFドラマの雰囲気がめちゃくちゃ斬新でした。特にミスター・スポックのキャラとカーク船長の声(日本語吹き替えは矢島正明さん)が好きで、本当によく見ていました。おそらくタランティーノの事ですから私の好きだった『宇宙大作戦』をベースにとんでもないSF映画を撮ってくれるに違いないと期待していたのですが、どうやら監督はしないようで残念でなりません。
スタートレックでないにせよ、タランティーノがまた面白い映画を撮ってくれることを期待しています。
■ ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドの時代
映画のネタバレにならないようにこの映画を楽しむ重要なポイントとして、この『ワンス〜』と言う映画にとって、1969年8月8日に起きたシャロン・テート殺害事件のことを知っておいた方が良いかもしれません。
1960年代の終わり、長く続くベトナム戦争に対して反戦ムードが高まり、それはヒッピー文化へと広がります。
長髪に花柄のシャツ、LSDなどのドラッグとロックミュージック、そんなヒッピーの中の1人にチャールズマンソンという男がいました。
チャールズ・マンソンはビーチボーイズのデニス・ウィルソンととも親交があったようで、ミュージシャンを目指していたようです。
そんなこともあり多少カリスマ性もあったのでしょうか、彼を慕うヒッピーたちとコミューンを形成します。
ある時、チャールズ・マンソンはデニス・ウィルソンに紹介された音楽プロデューサーのテリー・メルチャーの邸宅を訪れます。
そこはハリウッド・セレブが住む丘の上にありました。マンソンが訪れた時、テリー・メルチャーは引っ越ししており、そこにはヒット映画がローズマリーの赤ちゃん』の監督であるロマン・ポランスキーと妻で女優のシャロン・テートが住んでいたのです。
訪れた先ポランスキー邸となっていた場所でぞんざいにあしらわれたチャールズ・マンソンはそのことを根に持っていました。そして、こういった新興団体の小物指導者にありがちな終末戦争論をぶち上げ、コミューンのメンバーとポランスキー邸を襲撃。シャロンテートを含む4人が殺害されると言う事件になったのです。
この事件が前提にあることで、この「ワンス〜」と言う映画が楽しめるようになっています。
チャールズ・マンソンはヒッピー文化の中の闇を集約したようなところがあるのですが、同年同月にはあのウッドストックフェスティバルがあったり、イージー・ライダーやバニシングポイントなどアメリカンニューシネマが生まれる背景になっていることからも、ヒッピー自体は文化的に大きな意味を持ったムーブメントであったのは間違いなく、タランティーノも間違いなく影響受けていると思います。
そんな時代のお話なのです。
■60年代後期から70年代初期のスタイル
この映画の主人公は誰か?と問われるとすごく難しいかもしれません。というのも、この映画で言いたい大きなテーマは3つほどあり、そこがまだらに混ざり合っている事は他のタランティーノ作品と少し違った新しい表現になっているからです。レオナルドディカプリオ演じる落ち目の俳優なのか、そのボディー・ダブルを演じるブラッド・ピットなのか、2人主演のようなはっきりとしたバディーものでもないので、主演は2人で間違い無いのですが、物語の中心に誰がいるかは微妙です。強いて言えば物語の中心にはハリウッドと言う場所がいるように感じました。それでもスタントマン役のブラッド・ピットのかっこよさは際立っています。
ファッション的にはTシャツにジーンズ、アロハシャツにスエードのモカシンブーツ。そしてサングラスと69年当時のスタイルなのですが現在そのままのスタイルでいても何ら違和感がない所が、ちょっとレトロでちょっと個性的なファッションとして通じるのではないかと思います。ちょっとと言うところがミソです。
アメリカン・カジュアルの基本スタイルと言ってもおかしくないのかもしれませんが、この時代から普段着スタイル、ストリートスタイルなんだと思います。
■劇中ブラッド・ピットが着ているTシャツ
劇中では全く語られていなかったと思うのですが、ブラッドピット演じるクリフ・ブースはスタントマンと言うだけあって、スリルやスピードを追求する感覚を持った人物なのでしょう。車で走ったり、また車をいじったりするのも好きな人物のように想像します。
そんなことを思わせるのが劇中のクリフが着用しているこの2枚のTシャツです。
1つ目のこの黄色いTシャツですが、ライオンズ・ドラッグ・ストリップと入っています。ちょっと調べたところホット・ロットでものすごくスピードの出るように作られた車ありますよね。こんなやつです。それを走らせるトラックを運営するような組織らしいです。
なのでこのTシャツはホット・ロッドを走らせるトラックの運営組織のTシャツと言うことです。
劇中のTシャツには無いのですが、ほぼ同じデザインでホッド・ロッド・カーがプリントされたバージョンもあるようで、そちらはこの映画の影響もあってか今でも入手することが可能のようです。
もう1枚はこのチャンピオンTシャツです。こちらはあのスポーツメーカー、色のチャンピオンなのかなとも思われがちですが、これは違います。これは車やバイクの部品、スーパー・スパークプラグのメーカーのロゴTシャツになります。
ボディーのTシャツにインクでスクリーンプリントされてる感じで選択によるカスレと選択による記事へのなじみが肝が出ています。
この辺のリアリティーは映画にとって絶対欠かせない要素なのかなと思います。これが今私が持っているもののように転写プリントのものだと「この時代のものじゃないじゃん」と気になってしまうわけですよね。そういうところがしっかりしていると、余計なことに気がい行かないだけ、映画そのものに集中できるんです。そうするとこの映画のように「クリフって車好きのスタントマン」みたいに物語に広がりを生んだりするんじゃないかと思います。
ちなみに、なぜか車の周辺のメーカーのロゴってふと気づくといいなと思って買ってしまったりしていますね。
企業ロゴものの中でも何かTシャツに向いているというか、レースのスタッフなんか着ているとかっこいいからなんでしょうかね?
私もSTPと言うオイルメーカーのものの珍しい90年代ものやあのミシュランタイヤのムッシュ・ビバンダムがプリントされたものとか何枚も持っていたりします。
と言うことで今まで3回タランティーノ映画の中のTシャツについてお話しした格好になりますが、決してタランティーノだけが好きと言うわけではないんですけれど、Tシャツの使い方が他の映画にはないほど意味があるように感じられるのはこの3作品でした。
次回も映画の中で使われたTシャツに関してお話しします。大ヒット映画ですのでお楽しみに。
(おまけの話)
奇しくも本日7月20日はブルース・リーの命日だということ。
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドの映画の中にもブルース・リーが登場し、スタントマンのクリフ・ブースと一悶着あります。また、シャロン・テートのアクションシーンの殺陣をつけたりして、ちょい役ではありますがとても印象的にちょっとイヤな奴といった感じで印象的です。
タランティーノはブルース・リーの映画が好きであったことは間違い無いのですが、ハリウッドのスタジオの中のブルース・リーには良い話しがなかったというようなことを言っていたとか。それでもこの映画の中の世界ではブルース・リーの人生もまた違ったものであったのかもしれませんね。