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Nevermind 30th Anniversary Edition

■10年ごとに?

これまで何回かこのチャンネルの動画内でもお話視したのですが、1991年という年はロックがその時代を象徴する音楽としてのポイントがあった年だと思うのです。
90年代を象徴する音楽として、グランジ・ロック、ヘヴィ・ロックが80年代に産業化しブヨブヨと肥大化したロックとはまさにオルタナティヴな音楽として世に認知されたということでした。
特にアメリカのオルタナ、グランジといったメインストリームのロックから外れたところから出てきたロック、レッチリの”Blood Sugar Sex Magik”、サウンド・ガーデンの”Badmotorfinger””ダイナソーJrの”Green Mind”、R.E.M.の”Out Of Time"、そしてパール・ジャムの”Ten”と重要なアルバムがこの年にリリースされています。その中でも特にニルヴァーナの”Nevermind"は今上げたようなバンドやアルバムを『重要なもの』にするきっかけにもなるような、つまり”Nevermind"がなければそれらのアルバムが今も聴き継がれるようなものにはなっていなかったかもしれないと言えるような、それほど画期的なアルバムだと言えます。
それくらいのアルバムなので、これまでも何度かリマスターされたりしてきました。2011年には20周年記念盤としてリマスタリングされたのとプロデューサーのブッチ・ウイグがミックスしたバージョンをデボンシャー・ミックスとしてリリースされたりしました。
demoやプロモビデオやパラマウントシアターでのライブ映像も加わった豪華な記念盤で国内仕様のもので16,000円くらいしたと思うんですけど、まぁ買っちゃいますよね。
それから10年経って、30周年記念盤が出るときいて、まぁ驚きました。
また、出るの?これ、10年ごとに出るってこと??って。

■30周年記念盤

Nirvanaは3ピースのバンドですし、アルバムも基本的にはボーカル、ギター一本、ベース、ドラムの音のプロダクションになっていると思います。
一部の意見ではこのNevermindのアンディ・ウォレスのミックスが80年代的な産業ロックの音作りを踏襲しているという意見もありますが、91年当時聴いた音の印象では全く異質なものでした。ニルヴァーナの”Nevermind"はそれまで聴いた
どんなロック音楽に比べ、人の演奏する音が作るグルーヴが感じられました。
リズムをキープすることよりも一本のギターとベースの音を埋めるように鳴るバスドラ、スネア、タム、ハイハット、シンバル。リズムとボトムを押さえた正にベースを作っているベース。歪んでぐるぐると回流ようなギターの音とそれを増幅させるように絞り出されるボーカル。ダブルボーカルのエフェクトが生々しさを消す代わりにスタジオでレコーディングされたこと、ほとんど唯一と言っていいくらいこの音楽がテクニカルに作られたものである耳障りにしているところも絶妙なバランスで『これがぽっと出てきた安物インディーロックとは違う』と一聴してわかるものにしていたのです。最初に聴いた時のことは今でもよく覚えていますが、本当にそれまで聴いたことのないものでした。
そこに比べると30周年ミックスはボーカルの声のぼんやりしたところを削ってソリッドにしている感じがします。"Smells Like Teen Spirit"のヴァース部分のカートの歌、ワードの語尾などはっきりきこえたり、"Breed"のような楽器もボーカルも固まりのように鳴っていた曲でもボーカルの輪郭がハッキリしているように聴こえます。ただボーカルがソリッドになった部分が気になってしまうということもあります。まぁ最初にこのリマスター盤を聴けば違和感はないのだと思いますが。

この30周年盤にはNevermind発売後に組まれたワールドツアーの4公演が収められています。やはりメジャーレーベルであるゲフィン移籍第一弾アルバム、当時ゲフィンはガンズアンドローゼズやエアロスミスなんかのヒットもあり気鋭のレーベルであったこともあったのでしょうかニルヴァーナのプロモーションにも力を入れていたようです。
シングルの"Smells Like Teen Spirit"がMTVでヘヴィー・ローテーションされ、1991年9月の発売から3ヶ月かかってビルボードチャートで1位になるのが1992年の1月のことなので、ちょうどいろんな国をい回っている最中どんどん盛り上がってついにはブレイクする、そんな過程の中でのライブになるわけで、それはなんとも感慨深く聴けるものになっています。

■Amsterdam Nov 25,1991

こちらはブルー・レイで映像化もされているオランダアムステルダムでのライブです。ヨーロッパでもチャートにアクションが出始めた頃のライブです。
映像で見るとより臨場感はあるかもしれませんが、このライブもまるで当時のニルヴァーナの人気に火がつく様子のようにライブが進むにつれて観客の盛り上がりテンションが上がっていく様子が見て取れます。後半は次々に客がステージに上がり踊り、ダイブしていきます。
それに対して、カートは観客を煽るわけでもなく、もうすでにこの頃から淡々と演奏を進めているようにも見えます。ほとんど表情が映されないので、定かではないのですが...ただ、その声には生気があり、正に『若いバンド』という雰囲気があります。

■Del Mar Dec 28,1991

本国アメリカ、カルフォルニア、デル・マーでのライブ、この会場も規模は中規模ですが人気は既にそのキャパシィーを超えている状態だったと思います。
”Smells〜”や”Come As You Are"などカートがギターを弾き始めた時のオーディエンスの盛り上がる雰囲気が感じられます。

■Melbourne Jan 31,1992

年が明けついにビルボードで1位になった後のオセアニア〜アジアツアーのライブです。ラジオ放送用の音源のようでバランスが良くライブ盤として臨場感のある音、ミックスになっています。特にギターの音がクリアにきこえます。このライブでは"Polly"が聴きどころで、オーディエンスの合唱や手拍子がライブの良いヴァイブレーションが伝わってくるようなものになっています。

■中野サンプラザ Feb 19,1992

世界的にブレイクした直後、ワールドツアーの終わりの頃にあたるライブです。
既に人気や盛り上がりが中野サンプラザのキャパシティだけでなくバンドのキャパシティからも溢れてしまっていた頃でしたが、この時チケットを持っていた人はもっと前に購入していたためニルヴァーナのコアなファンだけではありませんでした。その辺りのエピソードはまた別の機会にお話ししたいと思います。
2,000人規模の中規模ホールでのライブらしいライブハウスとは違ってある程度天井までの高さがある反響音の感じがよく現れた音源になっていると思います。ブート音源を含め今まで色々なニルヴァーナのライブ音源を聴いてきましたがこれはかなり独特で他にない感じです。反響音のようなエコーとクリスのベースの唸るような音がよく表れています。その分少しデイヴのドラムが引っ込んでいるような印象ですが、その日アンコールの”Smells〜"の演奏を始める前にQueenの”We Will Rock You"の一節をクリスが歌ったり、それを受けた観客のレスポンスや最後の曲演奏後の長いフィードバックノイズパフォーマンスもしっかりと収められていて、日本でのライブという思い入れもあり、これはかなりいいライブだと思います。

ということで今回はニルヴァーナのネヴァーマインド30周年記念盤のレビューでした。season2では全7回でカートの着たTシャツを取り上げ他くらい僕自身にとってニルヴァーナはリアルタイムなバンドだったので、そこはTシャツと絡めてまたお話ししたいと思います。


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