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カート・コバーンがMTVアンプラグドライブで着ていた"FrightwigのTシャツ

■カート・コバーンがMTVアンプラグドライブで使っていたギター

2020年の6月に古い40年来の友人から、「6億4,200万だって、すごいね」って朝からメールが着て、何のこっちゃ?ってなったんですけど、その後に何回かメールのやり取りしてオークションに出ていたカート・コバーンが使っていたアコースティックギターの落札価格だとわかったんです。
このアコースティックギター、マーティン社製のD-18Eというモデルらしく、1959年頃の1年だけ製造されていたというそもそもレアなギターなんだそうで、落札価格は601万ドル、ということでその日の円換算での価格が6億4,200万円という金額ってことでした。
カートはこのギターを1993年の11月、亡くなる半年くらい前、ニューヨークのスタジオでアンプラグドライブを行った時に使用していました。
このアンプラグドライブはMTVで企画、放送され、音源化、映像化もされているとても良く知られたものなんですね。だから高額になったというのもあると思いますが、その映像、今はYouTubeのNirvanaの公式チャンネルでも観ることが可能ですので、これは是非観ていただくと良いと思います。
Nirvanaがそんなに好きじゃない、Nirvanaの音いまいちピンとこないという方でもこのライブがとても良いもの音楽的に素晴らしいものだということが感じられる映像だと思いますので、本当におすすめです。

■特別なライブ


カートが亡くなる前から93年のリオでのハリウッド・ロックフェスのブート盤のVHSビデオを持っていて、このライブ、レッチリのフリーが”smells like teen spirit”でトランペットを吹いていたり、あ、この曲のどこでホーンが入れられるんだ?と思った方、そうですよね、そのくらいトランペットの入る余地なんてないような曲だと思うんですが、結構それはその通りな仕上がりになっていたり、ライブの後半、カートがライブを撮影しているテレビカメラに向かって(パンク・スピリッツ全開で)絡んでくるところとか、凄い好きなライブだったんですけど、一般的な評価は低いみたいです。時期的にはそれより過去のライブであるレディング・フェスやパラマウント・シアターでのライブが良いとされているんですが、この頃のカートはなんだか狂気の雰囲気が漂っていて、映像自体もそんなにクリアじゃないので、ちょっとシアトリカルな感じがするんです。ライブ感がないと言ったらいいんでしょうか?もの凄い否定的な意見も聞かれそうですけど。
アンプラグドライブはそういった狂気じみた感じがしません。観客との距離感が物理的だけでなく凄く近い感じがします。カートが観客に話しかけたり、そういう意味でのライブ感があって、聴いている人に対してフレンドリーな印象を与えてくれます。カート自身もこのライブに際し、ステージセットの細かいところや演奏する曲にもこだわっていたそうで、演奏やライブ自体のバンドのパフォーマンスにとても満足していたと聞きます。
そんな他のライブ映像ではほとんど観られないカートの楽しんで演奏している雰囲気の感じられるライブ映像です。
そのアンプラグドライブの1ヶ月後のシアトルでのライブ映像でのカートはもの凄く冷めた雰囲気になっています。
他のメンバーや自分が演奏している音からも距離を取っているような....
そのライブでもお決まりのライブ最後のギター壊し、セット破壊があるんですが、なんとなくお約束、予定調和的に展開しているような感じで、一通り壊した後にカートはスーッっとステージから消えています。
そうすると、やっぱりアンプラグドライブは特別なライブだったんじゃないかと思います。そういうことを感じた人も多くいたからこそ、このアンプラグドで使われたアコースティック・ギターの601万ドルという高額な落札価格に繋がったのかもしれません。
因に落札者はこのギターをファンが観られる特別なものにしたいと言っているようですし、もしかしたらいつか日本でもNirvanaミュージアム的なものが開催され、このギターの実物が観られるかもしれません。
もひとつ因に、カート自身はこのマーティンD-18Eをそんなに気に入ってたわけではなかったという話しがあります。むしろそれより前から使っていた1953年製のD-18の方がお気に入りだったようです。
さらに因みに、601万ドルで落札されることになる前にカートの娘のフランシス・ビーン・コバーンの元旦那が所有していたこともあります。

■FrightwigのTシャツ


最後の因みに、ここからTシャツの話しに繋がっていくんですが、アンプラグドライブで使用したギター、マーティンD-18Eは601万ドル日本円で6億4,200万円で落札されましたが、そのライブで着ていたモヘアのカーディガンもオークションに出されてていて、33万4,000ドル、日本円で3,630万円で落札されています。
そのカートの定番スタイル、モヘア・カーディガンの下にはパジャマのようなストライプ柄のシャツを着ています。パジャマではないかもしれません。
そのシャツの中に着ているのがこのTシャツと同じデザインのTシャツです。
ようやくTシャツの話しになりましたが、このTシャツ一見不気味ですよね。ウチの家族にも不評です。怖いって言われます。ちょっとフリーメイソンっぽくもありますが、割と欧米ではこのエッチング・タッチのギョロ目の絵って多いんですよね。
そしてこのTシャツ、昔の映像では白地のTシャツに見えていたんですけど、最近の画質の良い映像で観ると薄い水色だとわかります。この薄い水色のTシャツの下にもう一枚白いTシャツを着ているのが首もとにのぞいているのことからわかります。Tシャツ2枚を重ねて着ているんですね。
こちらの現在でも手に入れられるものはカートが着ているものよりも少し色が濃い感じですが、もしかしたら元々は同じくらいの濃さのものだったのがカートのは着古して色落ちして薄くなっているのかもしれません。あとギョロ目のプリントは少し小さめになっているような感じがしますが、人が観たら不気味と感じるインパクトは十分な大きさでプリントされています。
この水色の加減が好きでワンシーズンメインで着ていたこともあります。
爽やかな水色に不気味なプリントがいいんですね。

■女性アーティストとカート


このプリント、Frightwigという80年代から活躍していたガールズ、レディース(?)バンドのロゴというか、アルバムジャケットにも描かれているデザインです。私はFrightwigのアルバムは聴いたことはなかったのですが、YouTubeで検索するといくつか映像を観ることができますし、曲も聴くことができます。ガレージ・パンクな音ですね。聴くとこれだけではメジャーでヒットするのは難しそうな感じがしましたが、カートはアンダーグラウンドな音やバンドに対してもの凄く造詣が深いですね。性別、国籍、人種なんかでバイアスがかかるようなこともなく素直に音楽を聴いていいもの好きなものを素直に感じているんじゃないかなと思うとそういうところも凄いなぁ、かっこいいなぁと思います。キム・ゴードンとの交流やL7、少年ナイフもそうですし....まぁ奥さんがホールのコートニー・ラブで”smells like〜”のタイトルになった曰く付きの元カノ?がビキニ・キルのキャスリーン・ハンナですからね。
女の子、女子がそのセクシャリティに捕われない、制限されない生き方みたいなものへの共感や理解があっただと思います。
カート自身、男性的なマッチョイズムを嫌悪していたようですし、そういうバランスがあるように感じます。コートニーやキャスリーンは若干無理しているんじゃないかと思うような節がなくはないですが、そういったところを含めカートは共感し、理解し、応援もしていたんじゃないかと思ったりします。なので、こういったところ、映像で残るようなところでそんなに知られていない女性パンクバンドのTシャツを着たりしているんじゃないかと思うんです。
次回もそんな感じでカートが着ていたんじゃないかと思うTシャツを紹介したいと思います。

今回の話しは因みが多かったですね。
因に、40年来の友人、カート・コバーンの名前はなんとなく聞いたことがあるレベルで私が好きってこと知ってたのでニュース記事から6億4,200万のメールを送ってくれました。そんなところでもカートの影響力の凄さを感じさせます。

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