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”...And Justice For All”アルバムジャケットのテミス像と日本企画メタリ缶のTシャツ

Tシャツとロック音楽についてお話ししているYouTubeチャンネルのテキストを動画では話せなかったおまけ話やイラストとともに綴っています。
メタリカの第3回目はセレブも愛用する"...and justice for all"アルバムのアートワークがプリントされたTシャツのテミス像についてお話しします。

■一番好きなメタリカのアルバム


メタリカのアルバムで一番好きなのはどれですか?ときかれたら、『メタル・ジャスティス 原題 ...and justice for all』だと答えます。
前作『メタル・マスター 原題 master of pappets』でクリエイティブ面で頂点を極めたバンドでしたが、クリエイティブ面の一翼を担っていたbassのクリフ・バートンの死によって、ジェイムズとラーズはメタリカを前進させるため、曲作りの面でも更なる作り込みが必要だと考えたのかもしれません。
アルバムも4枚目になるので、それまでに作った手持ちの曲もアイデアもほとんど無かったでしょうし、新しい布陣でまさにイチからの曲作りだったのではないかと想像します。
この辺りはアルバムのデラックス・エディションなんかも出ていますし、色々と深堀っていくと面白い発見があるかもしれません。
ジェイムズ自身もインタビューでこのアルバムを作る際にはプログレッシブなアプローチで複雑な構成の長い曲を練りに練って書いた。曲に仕上げるのも大変だったけどそれに見合う反応がなかったというようなことを言っていましたが、その複雑で長い曲のアプローチがプログレ好きな私には気持ち良かったんです。
音作りもそれまでのメタル然とした作りから実験的な斬新な感じがして好きです。(ベースの音が聴こえないことも含めて)
4曲目まではホントに好きですね。

■アルバムのカバー・アート『正義の女神』


えーと、ジャスティス・アルバムに関しての深い分析なんかは私なんかよりもっとメタリカを愛している方にお任せするとして、

Tシャツのお話をしたいと思います。
まずアルバムのカバーとにもなっているこの目隠しをした女性ですが、これは正義の女神と言われるテミスの像です。正義の女神は右手に力の象徴である剣を持って、左手には正と邪を測る正義の象徴としての天平を持っています。
この女神はロープで縛られて、天秤からはお札が溢れ落ちています。
これはタイトルトラックの"...And Justice For All"の歌詞にも表現されているように正義の方がお金や権力に蹂躙されていることを表しているようです。
このアルバムに伴うライブではステージセットで巨大な女神像が作られ、"...And Justice For All"曲の後半で崩れて火を吹く演出がされています。
YouTubeでも見られたりするのでぜひ見てみてください。めちゃくちゃかっこいいです。
ちなみに、このメタリカの女神像はドリス(Doris)と名付けられていたそうです。

と言うことで、なかなかTシャツの話になりませんが、この女神像がプリントされたTシャツ黒のものはアンプリファイドというブランドのものでトーンが黒とベージュがかった白の2色に抑えられていて他の公式のものはロゴに色が入っていたり、蛍光のグリーン系の色が使われていたり、緊張感を煽るような配色が多い中、着易いかと思って購入しました。
アンプリファイドのものはバックプリントはありません。

■日本企画メタリ缶

もう1枚はとてもスペシャルなものです。
前回の動画でお話ししましたが、メタルのオールタイムベストなアルバムとして必ずあがるほどのサードアルバム『メタル・マスター 原題:Master Of Pappets』の大ヒットとオジーオズボーンとのツアー、そしてDamage Inc.ツアーにより、世界的なバンドになったメタリカですが、このDamage Inc.ツアーの最中、不慮の事故でベースのクリフ・バートンが亡くなります。それでも、バンドは新しいベーシスト、ジェイソン・ニューステッドを迎えツアーを続けました。そしてツアーの最中に新体制でカバー曲のEPレコード発表します。
このEPが『メタル・ガレージ 原題:Garage Days Revisited』です。この反響も大きく、4thアルバムへの期待は日本でもかなり高まっていました。
私も発売前にメタリカのアルバムいつ出る?と心待ちにしたのはこの時はこの時が初めてでした。
日本ではなんとメタリ缶と言うダジャレ企画物は限定発売されると言う、やっぱり、少し色物感が残っていたんでしょうかね。
ただこの企画ものが結構お得で、特製の缶の中にCDとTシャツが入って3,500円位で、CDを買うのと1,000円位しか変わりませんでした。数量限定だったので、当時住んでた奈良の新大宮と言う所のレコード屋で予約して手に入れた覚えがあります。
前振りがなくなりましたが、そうです、そのメタリカの中に入ってたのが今回初宅配するTシャツです。1988年の日本製のメタリカのダメージド・ジャスティスTシャツです。
これはパスヘッドと呼ばれるアーティストが描いたアートワークがプリントされたもので表面にはパスヘッドのアートの象徴であるドクロ、バックにはアルバムのブックレットにも載っていたバスヘッドによるメンバーの顔が描かれたハンマーがプリントされているものです。パスヘッドと言えばやはり独特の緊張感のあるドクロの図柄のイメージだと思うのですが、メンバーの顔には目も鼻も口も描かれています。そして割と細かい線で微細な部分まで書き込まれている絵なので、やはり緊張感があってかっこいいです。
パスヘッドのこういったドクロ以外の人物の絵ももっと見てみたいと思ったりします。
この企画のTシャツのプリントは日本製ということもあってか、プリントの状態が非常に良くて、発色が素晴らしいです。そしてこのTシャツはほとんど使用していないので、30年以上経った今見ても綺麗です。逆にヴィンテージマニアの方は綺麗すぎて好まないのかもしれませんね。なんで着なかったんだろうと自分でも不思議になんですが、このサイズ感が、日本製のMサイズなので結構きつかったのと限定ものなので大事にしていたこともあると思います。しかしながら、缶は何度かの引越しで荷物を整理するうちにどこかに失われてしまいました。
残っているのはこのTシャツと一発録りのダイヤモンド・ヘッドのカバー曲"The Prines''がボーナス曲として入った日本版のCDだけです。残念でなりません。どなたかに缶だけ譲っていただけないかと思って探したりしています。
このTシャツと同デザインのものは今でも入手可能のようです。ただ、写真で見る限り、プリントの発色はかなり違うようです。やはりメタリカのTシャツとパスヘッドは切り離しては語れません。
次回は今回の続きのお話しパスヘッドアートワークDorisの名前で知られるTシャツを紹介したいと思います。

■おまけの話

今回紹介した、1枚目のメタル中点ジャスティスアルバムのカバーアートであるテミスの像のアートワークもパスヘッドのものであると思っていらっしゃる方も多いようですが、こちらはパスヘッドではありません。
ロジャー・コーマンと言うカバーアートを手がけている人に依頼して作成されたということです。
もともとカバーのコンセプト自体はジェームスとラーズが持っていてそれをアートワークにしたのは前回紹介した便器から手が突き出たアートワークを手がけたスティーブン・コーマンというアーティストでそのお兄さんがロジャー・コーマンです。

このアルバムの後カバーのテミス像にはモデルがあり、ドイツはフランクフルトの高等裁判所の前に立つテミス像なのだそうです。
ちなみにフランクフルトのテミス像は目隠しされていません。
そして本編でも話していますがこのアルバムのカバーアートのテミス像は立体化され、ダメージド・ジャスティスツアーのステージセットとなり、メンバーからドリスDorsと言う名前がつけられています。このステージセットとドリスが崩れる演出は80年代にロックが産業化されてスケールが大きくなったことに合わせて行われるようになったステージ演出の最たるものだったと思います。

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