悪魔の囁き
結果を先に書いておくと、気になっていた女性とは上手くいきませんでした。
人生はそうそう上手くいかない。だから最終的に、それが自分の人生には正解なんだ、「絶対に後悔させるぞ」と思い込み、人生を進んだ方がいい。と言うところで、前の記事からの続きを書いていきたいと思います。
ドイツのカンパニーに残る事を決めた自分。最初に決めたのは、今までのままではいけない、そしてダンサーとして自分はどうなりたいのかと言う事。自分の立場はわかってきた、それに努力もしていたのですが、人は自分に甘い。苦しみを嫌い、楽に進みたいというのが本能です。
だがしかし、一度でも悪魔の囁きを聞いてしまうと、それに向けて努力をしてしまうのです。それが例え異性にモテたいだろうがなんだろうが、真剣になれれば。
心に突き刺された思いが人を本心から突き動かす。悪だと言われても、リベンジに燃えるなどというのも、結果はその部類に入るのではないだろうか。
勿論、ダンスが上手くなりたい、最高の芸術作品を作りたい、好きな事に打ち込みたいがいい答えなんです。でも、綺麗事だけじゃあ突き進まない気持ちもあるから、その裏を突いてあげれば、最終的に両方の力で人は変われるはず、というのが、持論です。
さて、前引きが長くなったので進みますが、自分の場合、まず何を優先したかと言うと、身の回りです。
結局、自分が欲しくても手に入らないのは、「自分が手に入れる資格がないから」と考えました。例えば、その気になっていた女性に振り向いてもらおうと思っても、自分がダメなんだと思うようにしたのです。(決して自分を卑下しない事、冷静な目で見るだけに留める)
今まで好きになったりしても成功しなかったのは、自分が格好悪いから。そこが最初の線引き。確かに自分に似合う人だったり、性格だったり、色々とあると思うが、まずはゲームで言うなればレベル上げするべきだと決めたのです。
というわけで、デトックスをしました。少々太り気味だったので、1ヶ月で10キロ痩せ、気分を切り替えるために瞑想を寝る前にし、字が汚いから字を綺麗に書くようにし、足腰と体力向上目的でジョギングを始め、太極拳に加えてムエタイをし、ダンスの仕事以外にも自己流の筋トレを加え、自分を追い込んでみました。
この時、気がついた事を少々。痩せるのは早すぎるとダメ、ゼッタイ。自分は打ち込むとやり過ぎるたちなのでここで失敗しました。というのも、過度のダイエットはストレスが大きく、耳が水の中にいるような感覚に陥ってしまったのです。健康のためにも、ゆっくりとなれさせていく方が確実にいいです。
ちなみに、痩せても力がなくなれば意味がないので、今までと同じ運動内容か付加をかけながらで痩せていきましょう。言うのは簡単、やるのは地獄。だから、悪魔のささやきを使いましょう。(笑
次は、強くなると言う事。弱い自分は相手にも環境にもつけ込まれます。これは喧嘩に強いではなく、「負ける気持ちを笑う力」を養う感じです。相手に意見を言うにしても、弱い気持ちが自分を先に負かし、出てもいない行動に負けるのです。
振付でも意見の違いはあり、相手をわかる気持ち、思いやりは大事です。ただ、自分のストレスになるだけの我慢は止めて、自分に筋を通してあげると欧州では特に重宝するでしょう。
最後は、笑う事。ポジティブシンキングだー、綺麗な言葉だー、というのも大切ですが、言霊が入っていればそれらも意味が違ってきます。嫌味で言えば、綺麗な言葉も傷つけますよね。だったらそれよりも、心から笑えば、内側の洗浄ができます。そして、表情に現れた笑顔は、どれだけ格好つけた顔より、人を引きつけやすいです。
元々怖めの顔をしていた自分。クールにいかなければと勝手に思い込んでいた時に、姉貴とも言える人とドイツの太極拳の師匠に言われたのが、「外見では口がすぼみ、目が中心に固まってる」。外見は内面の鏡、認めたくなくても諦めて認めるしかありませんでした。
兎に角、これらをできるだけ克服するよう努力しました。それからカンパニーの仲間からも変化にびっくりしたと言われました。そしてその結果が、最初に書いたように、上手くいかなかった恋愛事情です。虚しいですよね。
でも、本当に目的はなんでもいいのです。女性がきっかけだったのに、最終的にはダンスと作品、カンパニーにいい方向で貢献でき、さらに色々な場面で今まで以上の経験ができたのだから。
やはり悪魔の囁きは強い。そして乗り越える事ができた時、あの時の気持ちは天使の囁きだったのだと気がつく事ができるはずだから。