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story 放心

人生をまだ悟りたくない

苦しいといいながら
私はその苦しみを
愛するように生きている

私からそれがなくなったら
何が残るだろう

そうでなくなる自分を
想像できない

感謝されるのは苦手だ
愛されるのはもっと苦手だ

好意が最も恐ろしい

愛されれば
私はますます窮地に
追い込まれ

足元は心許無く

どこか安心できる
孤独な場所を探し求める

午後の日は
ブラインドの隙間から落ち
ひだまりを作る

音が消えていく

放心のまま
目は何も見ていない

外は激しく風が吹いている


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muku の森の物語
ことばはこころ。枝先の葉や花は移り変わってゆくけれど、その幹は空へ向かい、その根は大地に深く伸びてゆく。水が巡り風が吹く。陰と光の中で様々ないのちが共に生き始める。移ろいと安らぎのことばの世界。その記録。