私たち一緒にやりますよ
敬愛する小畑次郎さんが亡くなって3年が経った頃、次郎さんをこの上なく慕っていた砂粒三駄さんも次郎さんを追いかけるように同じ病で亡くなった。十月劇場さんで最初に仲良くなったのは三ちゃんだった。初めてプライベートで飲みに行ったのも三ちゃんが最初だった。
俺の偉大な先輩、次郎ちゃんから受け継いだ技を見せるから!と言われてしばらく
何かの打ち上げで隣で呑んでた三ちゃんが、ふと見ると真っ裸になっていた。いや、靴だけ履いていた。いつの間に!?ぴったり隣に座っていたのに服を脱ぐ気配は全くなかった。脱いだ服は売物のようにキレイに畳まれ置かれている。気取ってグラスをカランコロンさせてるが真っ裸なのだ。この奥義は完全に受け継いだからねと豪語していた三ちゃん。芝居に活かせるかはともかく、これは確かに技であり芸である。
先日、大阪の未知座小劇場のOB喪歌魔多利さんとお話したら、実はその技オレも出来るんだぜと言われた。驚いた。次郎さんの弟子は数多い。真っ裸芸でも習得したいと思う人がいっぱいいる。それほど素敵なアーティストなのだ。
フラスコさんとの合同公演にまつわるノートで真っ裸芸について書こうと思ったきっかけは、先日文学館の展示で久々に次郎さんの真っ裸チラシを目にし、頭の中の好きな先輩の記憶をアウトプットしたくなったから
そして今回フラスコさんに出演する遥くんも石川組所属だし、作・演出の生田恵ちゃんも高校生の頃から十月劇場を応援していた。制服の美少女追っかけ恵ちゃんの情報は十月の先輩から何度も聞かされていたのを思い出し、これは書くべき。と思ったのである。
きっと次郎さんも三ちゃんも観に来てくれるはずである。空席に居てくださいね。隣のお客様が怖くないように真っ裸で。
劇団無国籍
菊田由美