(Un)seen dialogues #2(後編)
曲:yuge / morimoto naoki
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絵:美味しい珈琲の淹れ方 / 幸山 将大
『yuge / morimoto naoki』
幸山さんの絵を見させてもらって、最初に目が止まり、その後も印象に残ったのは、やはり全体に広がる少し雲がかったような背景の白、そしてコーヒーカップを持っている人物の様子でした。背景の白はコーヒーカップから出た湯気が広がっていくことを表現されたように感じ、これを音で表現するにあたり、湯気の音をサンプリングするアプローチを思いつきました。早速、家に帰って、自分のお気に入りのカップの横にマイクを立て、実際にお湯を注ぎ、その前後を録音してみました。
録音した音を聴いてみると、はっきり聞きえるのはお湯を注ぐ音だけで、それ以外は何もない音が続く(ホワイトノイズ)だけでしたが、このノイズの奥には微小レベルの湯気の音があるように感じられて、この音をベースに制作を進めることにしました。
ここから音数を増やす過程で余白を埋めすぎないようにすること、ノイズによる白の広がりを表現すること意識し、最終的に完成した曲が『yuge』でした。今回、このプロジェクトを通して作品による対話ができたこと、それによって自分では思いもしないサウンドができたことが、非常に嬉しく思いました。
morimoto naoki
『美味しい珈琲の淹れ方② / 幸山 将大』
描きかけの絵のイメージから作ってもらったmorimotoさんの音源は、僕がUYUNIさんの音源から思い描いた余白の感覚を開いてくれるもので、改めてこの企画は面白いなぁと強く感じました。自然と呼吸が深くなる感じというか、静けさの中から聴こえてくる世界の音がよりクリアに感じられるというか。この絵で大事にしたい感覚ととても近いところで鳴っている音だなと思って、とても心強く感じました。
描き進めている内に気がつけば春がやって来たから、いっそのこと、春の訪れを黄色に乗せながら。冬の支度から春の訪れまでが絵になるというのも面白いなと思いながら完成させました。morimotoさんに渡す前に何気なく描いていた黄色い点描はミモザの色彩だったのかと一人で「おお!」と得心したのはとても良い思い出です。
幸山 将大