(Un)seen dialogues #1
曲:八ヶ岳での再会 / UYUNI
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絵:森になる、風になる / 幸山 将大
『八ヶ岳での再会 / UYUNI』
『八ヶ岳での再会』はこの(Un)seen dialoguesというプロジェクトを始めるきっかけになった作品です。2022年9月に八ヶ岳で山籠りをして絵の修行をしていた幸山くんに会いに行きました。夏の終わりの八ヶ岳はとても静かで涼しく空気が澄んでいました。再会した幸山くんは針葉樹林に囲まれ、苔の生い茂った聖域の様な場所にキャンバスを立てて一日中黙々と絵を描いていました。
幸山くんとは以前岡山県で共通の友人主催のイベントで知り合い意気投合した仲です。再会を喜び、いろんな話をした後にしばらく幸山くんが絵を描いているところを見せてもらいました。キャンバスに筆を走らせる音や水をかける音、動作の一つ一つが八ヶ岳に溶けてゆく事が美しく、その音をサンプリングさせてもらいました。
録った音を使って作品にする事を約束して別れました。後日、制作を始めましたが録った音を聴くたびに八ヶ岳の美しい自然が思い起こされて一気に完成しました。曲は序盤は森の静寂にポストクラシカル調のピアノを主として彩りを付けました。後半にかけて絵の制作が盛り上がっていく様子を音域の幅や左右の広がりで表現しています。サンプリング音には野鳥の声やハイカーの熊よけの鈴の音も使用しています。
UYUNI
『森になる、風になる / 幸山 将大』
『森になる、風になる』は、10月にUYUNIさんから送られてきた音源を元に制作しました。八ヶ岳でのフィールドレコーディングを元に制作されたその音像から、どんどんと深い森に一人で入っていくような密やかな感触を覚えました。人工の音が届かない密やか湖のような、どこまでもとうめいに内向きになれる感じ。
この音源があの八ヶ岳の景色から生まれたんだなぁという喜びがまず最初にすごくあって、このプロジェクトに対する面白さを強く感じました。僕にとってのあの場所の感覚と、音の中から感じ取れるUYUNIさんの感覚。似ている部分と、違っている部分。そのどちらもが面白いなぁと感じました。
「さて、この音源から何を作ろうか」と考えた時に、この音源から感じたイメージをそのままトレースするよりも、この内向きに潜っていく音像の先に見えてくる景色が描けたら面白いなぁと思いました。深い森の静けさの奥には、とても開かれた場所があって、命の息遣いが満ちている。静けさの中で鼓膜が次第に開かれていく内に、それまでは拾えなかった命の歌が聞こえて来る。そんなイメージでこの絵を描きました。
幸山 将大