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3月8日、ミモザの日にギョウザを食べる

3月8日、時刻は午後7時。私たちはミッションを遂行すべく、キッチンへと向かう。

今日の夕飯は餃子にすると決めていた。Twitterでたまたま美味しそうな餃子の写真を見つけてしまったからだ。目を閉じて想像する。まずはビールを一口。熱々の焼きたてをふーふーし、口の中を餃子でいっぱいにした後の、追いビール。思わず溜息が出る。いいじゃないの。すぐさま在宅勤務中の夫『カズ』にLINEをする。

私「夕飯、餃子食べたい」
カズ「おけ」

とにかく、帰ったら早く食べたい。餃子で頭の中がいっぱいの私は、仕事をしながら考える。どうすれば効率的、かつベストな状態で食べることができるだろうか。仕事終わりの私はきっと疲れている。でも美味しい餃子が食べたい。その結果、頭に思い浮かんだ条件は3つ。

①スーパーマーケットに行かずして作れること
帰り道に寄ると、時間がかかってしまう。手作りが美味しいことは分かってはいるものの、材料をそろえるだけでも最低30分はかかる。スーパーマーケットというのは本当に不思議で、カレーの材料を買いに来たはずが、レジにつく頃にはシラス3パックが買い物かごに入っていたりする。私はシラスが欲しかったわけではない。それが面白さでもあるんだけども。だが、今日はできるだけ早く食べたい。よって、手作り餃子は対象から外れることになる。

②焼きたてであること
『焼きたて』これに勝るものはない。テイクアウトは持って帰る間に冷めてしまうため、今回はやめておく。

③最短時間で作ること
とにかく早く食べたいから。となると、カズとの共同作業は必須だ。一緒にやれば、早く作れる。

この3つの条件を満たしたうえで、食べられる餃子は一つしかない。なんとしても仕事を終わらせなければ。私は定時ダッシュをきめるべく、気持ちを仕事モードに切り替え、パソコンに向かう。

なんとか業務をこなし、帰宅。
私「ただいま~疲れたおなかすいた無理」
カズ「おかえり」

在宅の仕事も終わったようだ。現在、午後6時45分。カズにミッションの内容を伝える。15分後にキッチン集合。

そして午後7時、いよいよキックオフ。試合時間は10分。今日のフォーメーションは以下の通り。
・カズ→FW(餃子を焼く)
・私→MF、DF(洗い物、餃子を食べる際に必要なもの全般の準備)

カズが開始と同時に、冷凍庫の扉を素早く開ける。取り出したのは冷凍餃子である。袋から出したカチカチの餃子を、フライパンの上に並べていく。その間、私はシンクに溜まった食器類を洗い始める。
カズがフライパンに火をつける。蓋をして中火で5分。この5分の間がとても重要だ。
洗い終わった私は、ダイニングテーブルにランチョンマット、箸、醤油、酢、ラー油、取り皿などをセッティング。カズは私からのパスで、洗ったものを拭いて食器棚に戻していく。
そうこうしているうちに、5分経過。カズは蓋を取り、羽根全体に焼き色がつくまで様子を見る。私は今のうちに、焼きあがった餃子を乗せる皿をスタンバイ。
焼き色がついてきたところで、いよいよ最終工程。フライパンに皿を被せ、せーの、でひっくり返す。恐る恐るフライパンを持ち上げていく。さあ、どうだ!?
こんがりとした焼き目。個と個が合わさり、一つになった、あのフォルムが姿を現す。

ゴオオオオオオオオル!!!!!

大成功である。ナイスシュート。さすがカズ。ここで代わりにダンスを踊りたいところだが、冷やかな目で見られそうなので、やめておく。
焼きたてを食卓に並べるのと同時に、私は冷蔵庫からビールを取り出す。ベストタイミング。どうやら俺たちは親友のようだな。ここで試合終了だ。

乾杯!

冷えたビールを流し込む。くうぅ、美味い。すぐに餃子をパクリ。はああああ、この瞬間を待っていた。幸せが一気に口の中に押し寄せる。そして追いビール。最高。こうして開始10分で食べることができたのも、自分一人ではできなかった。カズ、ありがとね。
そして私、ナイスアシスト。良くやった。

一息つき、食卓に飾られた花をみて、ふと思う。そういえば今日ってなんの日だっけ?ギョウザの日?


ああ、そうだ。ミモザの日だったね。


#ミモザの日だから伝えたいこと

#ぶんしょう舎

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