花束みたいな恋、みんなしてたのかな
映画『花束みたいな恋をした』を観た。
物語についての感想はすぐにでてこなかった。感想よりも先に、自分が学生だった頃からの出来事が思い出されていた。大学入学と同時に上京し、一人暮らしを始めたこと。学部の友人と仲良くなれずサークルに入り浸っていたこと。彼と付き合い始めた時のこと。お互いのアパートを行き来しながら過ごしていたこと。がむしゃらに就職活動してきたこと。お互い就職が決まって別々に暮らしたこと。私の退職を機に一緒に住み始めたこと。その彼と結婚したこと。そして、この映画を一緒に観ていること。
なんだか自分だけがこの主人公たちのように過ごしてきたのかと思ってしまっていた。この映画を観た人たちは同じように過去を思い出し、主人公と重ね合わせたりするのだろうか。そんなこともあったなあなんて、懐かしがったりするのだろうか。過程や結末は違えど、きっとこの物語はみんなの物語なんだろう。そう思うとあの時の仲良しカップルもいろいろあったのだろうか。別れた理由を聞かれても『価値観の違い』として一括りにしてきたんだろうか。
帰りにラーメンを食べた。あと瓶ビール。いつもは頼まないけれど、飲みたくなった。サークルの打ち上げでよく飲んでいたからだ。ちょっとしたことだが、いつもと違うことをするとワクワクする。最近そういう気持ちを忘れていた。日常が物語になるということを思い出させてくれた。そんな映画だった。