「わかる」資料とは
長くコンサルタントをやっていると、説明した内容について「わからない」と言われることが何度か。その時はなぜなんだろうと考えじぶんなりに資料の工夫してきた経験があります。
最近、ある方に「わかる資料」の助言をしたときに、なんとなく発見があったようなので、自分なりの4つの考慮点について。
1.言葉がわからない
ITや技術に関わる方は、これが問題だと思われるケースが多いように思う。英語の短縮文字も多いので。
言葉の問題もそうですが、相手に基礎的知識がないと伝わらないことも多い。また、言葉が多義的であったり抽象的であったりすると、同じことを具体的なイメージとして共有することが難しいので、意味が通じないことがあります。
初歩的ですが、言葉の定義は必要かと。さらに、言葉を正しく使う必要があります。曖昧な理解のまま流行り言葉を使うのが特に問題かと。
2.情報が多い
情報が多いと何を言いたいのかわからないことが多いです。
きちんと、何をいたいのかメッセージラインを書く、情報が多い場合は、説明したい内容ごとにラベル(章や節、スライドのタイトル)をつけると、読む人、聞く人の情報整理の負担をサポートできます。
以前からコンサルタントは3つにまとめるという話は、とても合理的です。3つぐらいしか、相手の理解のもと伝えることができないので。3つという数も重要ですが、情報を整理・分類して伝えることが重要かと。
3.何をどのように説明しているのかわからない
物事を説明するには、話の順序があります。結論に至る過程がわからないと相手も腹落ちしないのだと思います。
よく使われる話の流れにPREP(Point-Reason-Example-Point)なんかもあります。また、背景-課題-対策-結論という流れもあります。学術論文なら、問題意識-先行研究の批判-仮説-研究方法-分析結果-結論・議論でしょうか。
結論に至った理由や具体例などをうまく説明するとわかりやすいかもしれません。いわゆる「腹落ち」するには説明の流れに細心の注意が必要です。
4.意図がわからない
「結局、向さん、どうしたいの?」と聞かれたことが何度かあります。相手は、こちらの意図に沿って受け答えする場合も多いです。
コンサルタントは選択肢を示すものですが、相手に決断を求める場合は、こちらの意図も伝えたほうが良いかもしれません。難題には相手も迷っています。うまく判断の軸を添えてあげます。
他にも、相手に分かってもらうための注意点があると思います。参考まで、自分が気をつけていることをメモにしてみました。
追記:
「コンサルタントは言いっぱなしで実行には責任を持たない」と言われることがありますが、これは正しい姿だと考えています。
つまり、「良いコンサルタント」は相手をその気にさせることができるので、そこからはクライアントに任せることができる。「悪いコンサルタント」は相手をその気にさせることができないコンサルタントかと。