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病院(定期診断)
近所のH病院。
大きくため息をついたりひどい咳をしながら一人で五六回血圧計を独占し測定するごつい刈り上げ白髪おじさんがいて、その後ろに並んでいた僕は本当に嫌な気もちになった。ようやく終ったと思ったら僕に突っ込むように進んで、僕は極端な半身になって交わそうとしたが、左肩、左腕、左脚がおじさんに触れてしまい体や服が汚された気がして一層不愉快になった。
病院にきたことを後悔した。
そのせいか僕の血圧は高く、診察室で医者が、
今日は高いですね、
と言ってもう一度測定することになった。こんなの初めてだ。
この病院の医者は、
胸の音を聞かせてください、
と言って服の上からだけれど聴診器を当てる。だから僕はこの病院に行くときには必ず両胸のポケットに深いタックの入っている職場の作業着を着る。
そして診察時、僕は上着の左右を両側に開くとき猫背っぽい姿勢になり、聴診器を作業着の胸ポケットの上方に当ててもらえるようにするのだけれど、今日も医者はほぼ僕の望んだ位置で心音を聞いてくれてほっとした。
聴診器を最初に当てられた位置があまり膨らんでないところだと本当に嬉しい。ありがとうございますとお礼を述べたくなる。もっとも今日は左胸だけでなく右胸にも当てたので油断していた僕はちょっとドキッとした。左胸だけで済ますことも多いので。
病院を出るときには気もちが少し晴れていた。