My Weekend Reading List (02.14.2021)
NYTオピニオンエディターの挑戦
Kathleen KingsburyがThe New York Timesのオピニオンエディターに就任した。
NYTのオピニオンセクションと言えば、昨年BLM運動に対して、武力による抑圧を支持する寄稿者の記事を公開し、前任者が辞任する出来事があった。
Kingsbury氏は、オピニオンセクションのクオリティコントロールを目的とした公開本数の削減(25-30%ほど)、ファクトチェッカーの雇用などに取り組んでいる。
NiemanLabの記事では、ほかにもオーディオや動画によるオピニオンコンテンツ、NYT読者の大半とは異なる意見を共有するためのトライ、オピニオンとニュースの線引きをクリアにする重要性などに触れている。(ニュースとオピニオンを区別する方法を紹介するThe Wall Street Journalのキャンペーンサイトについて、「自分が思いつきたかった」とも述べている)
特に、最後に言及されている「ニュース記事とオピニオン記事の区別」は、ポータルサイトやSNSなどで情報を得る人の多い日本においても、非常に重要だと個人的に感じている。
NYTのこども向けサブスクプロダクト
The New York Timesのニュースが続く。先週、同社が『NYT Kids』と呼ばれるサブスクリプションプロダクトを開発中であると、Axiosが報じた。
『NYT Kids』では、8−11歳を対象に、クラフトやレシピ、子供向けの思考実験、エクササイズなどのコンテンツを提供する。例えばNASAのやり方で紙飛行機をつくる方法、悲しみなどの感情に対するコーピングの方法など、ハウツーコンテンツが中心になる予定だという。
以前の記事でも少し紹介したが、NYTはNYT CookingやNew York Times Gamesなど、ライフスタイルに関わるトピックを扱うサブスクリプションコンテンツを拡充している。
それらはNYTの成長にも貢献している。直近四半期では、新規デジタル購読者の3分の1がcookingとgames、audio productsを購読している。
NewYorkTimesのCookingセクションは、パンデミック下で一部レシピのペイウォールを取り払い、大いに会員数を伸ばした。現在ニュースレターの購読が400万人、昨年に比べて月次のユニークユーザー66%増。NewYorkTimesのデジタル購読者の収益増に大いに貢献している。
https://note.com/mukaharu/n/n48f710ed96c0
Bumbleの上場に貢献したUIの思想
先日上場したデーティングアプリ『Bumble』のデザインについての記事、いちユーザーとして非常に興味深く読んだ。
Bumbleは、マッチング後に女性が24時間以内に連絡を取らない限り、マッチングが解消される仕組みが特徴だ。
上場において重要な役割を担ったのが、Head of product designのLara Mendonça氏だ。2019年から彼女を中心としたユーザーインターフェースチームを率いている。
インタビューで彼女が強調しているのは、一般的なデーティングアプリにおいて“Vulnerable”とされる女性ユーザーの課題から解決すること。それによって、他のユーザーにとっても良いプロダクトを生み出せると考えていると言う。
インタビューでは言及されていないが、Bumbleのアプリでは、暴言などのハラスメントへの対処方法、コロナ禍で安心にデートするためのルールなどが紹介されている。
また、 Mendonça氏はオフラインの恋愛における「セレンディピティ」や「曖昧さ」なども、アプリのデザインに組み込みたいと話している。ユーザーリサーチでは、ユーザーが「何を恐れ、何を愛し、恋に落ちるとは何だと思うのか」をたずねていくのだという。
「人の感情は予測できないものだから、客観的に『課題を解決しました』なんて言えない」という彼女の姿勢は、個人的に強く共感する。