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My Weekend Reading List (11.28.2020)

SNSでざわつく投稿を見かけたら?

感染症にまつわる誤情報や偽情報に対処するUnited Nationsのイニシアチブ「Verified」が、Upsetting(動揺させられる)投稿に遭遇したときの対処法をまとめていた。

記事では「Reacting to Misinformation(誤情報に反応する)」や「Ways to Reply(返信する)」「When Not to Reply(返信しない)」などの項目が整理されている。例えば「Ways to Reply」では以下の項目が挙げられている。

1. ポジティブな変化を起こせると思ったときに、リサーチやソースにもとづいて反論しよう
2. 投稿者が「聞いてくれている」と思うよう、エンパシーを持って返信しよう
3. 組織として道義的な行為をしよう

「When Not to Reply」の内容も興味深い。

1. どの論争に参加するかは慎重に選ぼう
2. 時間を費やす価値を感じない投稿はスキップしよう
3. 送信ボタンは押さずに怒りの返事をしよう

また、記事で繰り返し指摘されているのが、「自身のメンタルヘルスを優先すること」だ。以前のReading Listでも、メンタルヘルスの状態と、陰謀論を信じてしまう行動に、関連がある可能性を示した記事を紹介した。

偽情報や誤情報の溢れる時代。Upsettingな情報やそれに伴う不安と的確に付き合っていくスキルは、従来の“メディアリテラシー”に加えて、重要になっていくのだろうと思う。

“いま知っておくべきパキスタン”を伝えるニュースレター

パキスタンのニュースを伝える英語のデイリーニュースレター「The NewsRun」を紹介する記事。

The NewsRunは“A smart breakdown of Pakistan's top news(パキスタンのトップニュースのスマートな分析)”を掲げる通り、毎日1〜3個のトップニュースを選び、明快なサマリーやコンテクストの箇条書きとともに、伝えているという。

ニュースレターのファウンダー兼リードライターのAnam Khan氏は、人生の半分をパキスタン、半分をアメリカで過ごした。両国を行き来するなかで、パキスタンのニュースを追うのが難しく、自らのルーツと切り離された気持ちから、メディアを立ち上げたという。

この記事を読んだときに「トップニュースだけであればBBCなどの地域ニュースをフォローするだけでも十分なのでは?」と一瞬思ったが、記事を書いたパキスタン系アメリカ人ライターは、詳しく海外に住むパキスタン人をめぐるメディア事情を紹介し、The NewsRunのようなメディアへのニーズを示唆している。

テレビで話されているウルドゥー語は家で話されているものよりもフォーマルで、簡単なニュースを理解するのは難しく、まして時に激しく交わされる議論を追うことは不可能だった。ウルドゥー語の新聞も米国の主要都市で購入できるが、それらはしばしば、当然のことながら、ローカルのディアスポラをカバーしている。ウルドゥー語が読めなければアクセスできない。

米国のような忙しないニュースサイクルのなかで、パキスタンについての英語での報道は一定ある。しかし、カジュアルな読者にとってはコンテクストが欠けていて、課題のインパクトを十分に理解するのは難しい。

The NewsRunは2018年に試験ローンチし、2020年11月現在は数千人の購読者をかかえるニュースレターに成長している。

また、興味深いことに、購読者の大半はパキスタンに住んでいる若いプロフェッショナルだという。“トップニュースのスマートな分析”は、パキスタン国内で、膨大な情報が流れてくる現状に疲れた人たちのニーズにも応えているのだ。

アジア系アメリカ人コミュニティと偽情報

アジア系アメリカ人と太平洋諸島系(AAPI)コミュニティにおける、偽情報や誤情報の蔓延について指摘するVOXの記事を興味深く読んだ。いつもより少し長めに箇条書きでポイントをまとめたいと思う。

・アジア系、太平洋諸島系アメリカ人(AAPI)を対象に、各国の言語で、大統領選にまつわる偽情報を発信するYouTubeチャンネルは数百、数千に上る。

・AAPIを対象とした偽情報は、YouTube以外に、特定の地域で利用されているチャットサービスなどで広がっている。中国系ならWeChat、台湾や香港系ならWhatsapp、韓国系はKakaoTalkと、それぞれ微妙に違いがあり、追跡やファクトチェックがより複雑になっている

・米国でアジア系、太平洋諸島系アメリカ人向けに、各国の言語で発信しているメディア自体も、誤情報や偽情報の拡散に加担している可能性もある。例えば、米国の韓国系アメリカ人向け新聞「Korea Daily」が、バイデン家の疑惑や不正選挙への疑いを取り上げたビデオを公開したことについて、元記者が懸念を示している。

・誤情報や偽情報のベースとなる内容は、Breitbartやthe Daily Calleといった英語圏のメディアで流通しているものと変わらない。しかし、アジア人の黒人に対するステレオタイプや、共産党政府への不信感など、別の要素も絡んで、報道や読み手の反応を形成している

・誤情報や偽情報と遭遇したときの解釈は、アジア系、太平洋諸島系諸国の現地メディアがアメリカをどう報じているのかにも、大きく影響を受けている。

こうした状況を踏まえ、インターネットでは草の根的にファクトチェックを行う動きが出てきているそうです。

・非英語圏のソーシャルメディアでは十分なファクトチェックが行われていないケースが多い、かつファクトチャックはボランティアに任されている

・アジア系、太平洋諸島系アメリカ人の有権者の数は、この10年で急速に増えている。一方、その大半は無所属で、選挙に与える影響は大きい

日本の状況とも少し重なる部分を感じずにはいられない記事でした。

また、記事では「アジア系アメリカ人」や「中国系アメリカ人」と同じくくりで考えず、そのなかにも繊細な違いがあることを認識すべきだと指摘されていました。私自身も、米国のアジア系の人は当然トランプ嫌いで、民主党支持者だろうと安易に思い込んでいたなと反省もしました。

世界のニュースルームの机から

WashingtonPostやNewYorkTimes、Le Monde、The Guardianなど、世界各国のニュースルームの様子を撮影した写真。すっきりとしたデスクもあれば、“茂み”や“混沌”を感じさせるデスクもあって面白い。


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MUKAI Haruka
最後まで読んでいただきありがとうござました!