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非公開Twitterを運営する司法ジャーナリスト

先日、オランダの新興メディアを支援する財団に取材をした。その際に教えてもらったのがChris Klompという司法ジャーナリストだ。

彼はメディアへの寄稿やラジオ出演の傍ら、非公開のTwitterアカウントで裁判の様子を日々レポートしている。同アカウントは月3.9ユーロを払ったユーザーにのみ公開される仕組み。2014年に“実験”としてアカウントを開設し、現在349人のフォロワーを抱える。

オランダのジャーナリストは多くがフリーランスとして働いている。リアルタイム性の高いコンテンツをTwitter上で公開し、毎月決まった収益を得るのは賢い手段かもしれない。

そんなことを考えつつ、翌日彼のTwitterを眺めていると、窓ガラスが粉々に割れた写真が目に飛び込んできた。ちょうど金曜日、彼の自宅にレンガが投げ込まれたのだった。ドアには「SNSアカウントを消さなければ戻ってくる」と乱暴に書かれた紙が貼られていたという。

彼はこれまでもTwitter上でオルタナ右翼やインターネット上の荒らしと衝突を繰り返してきたそうだ。また、小児性愛について記事を書いた際は、「お前を殺す」と書かれたメッセージを受け取ったこともある。

 そのせいか、事件に対しても冷静に対応している。犯人の要望に応じることなく、事件後もSNSアカウントを引き続き運用。「ソーシャルメディアは仕事の一部で、止めるつもりはない。もし止めたら、相手の要望に応じてしまうことになる」と毅然とした態度を見せる。

近年、メディアへの不信感や政治的対立の激化に伴い、世界中でジャーナリストへの襲撃が増えている。それ自体は知っていたが、欧州の先進国、ましてやオランダは無関係だと、どこかで思っていたのかもしれない。淡々と対応する彼のツイートを通して、現実を突きつけられた気がした。

Klomp氏は2014年、「もし条件の良いプロモーションツイートを頼まれたらどうする?」と聞かれ、“真実の下で働くのではなく、企業の下で働くことになってしまう”から断ると答えている。真実の下で働くことは、残念ながら年々危険になっているようだ。


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MUKAI Haruka
最後まで読んでいただきありがとうござました!