My Weekend Reading List (12.20.2020)
2020年『The Daily』のPowerfulなエピソード
The New York Timesの人気ポッドキャスト『The Daily』が、2020年の“Powerful”なエピソードをリストアップしていた。
特に印象的だったのが「One Hundred Thousand Lives」だ。このエピソードでは、米国でCOVID-19によって亡くなった一人ひとりの人生を、親族や友人、知り合いが次々に語っていく。
「どこで生まれたのか」「いつ米国にやってきたのか」「子どもの頃の思い出」「どんな仕事をしていたのか」「何が好きだったのか」「どんな活動に参加していたのか」「どんな特技を持っていたのか」「何歳でこの世を去ったのか」そして、「最期の言葉は?」
一人ひとりのかけがえのない人生が愛おしく悲しく聞こえてくる。このエピソードが公開される数日前、米国ではCOVID-19によって亡くなった方が10万人を超えている。それらを、ただの数字として認識し、処理してしまわないで、という制作者たちの願いが込もったエピソードだった。
もう一つ、強烈に印象に残ったのが、Harvey Weinsteinの弁護士を務めるDonna Rotunno氏のインタビューだ。インタビューを行なったのは、Harvey Weinsteinのセクハラや性的暴行を同僚との調査報道によって暴いたジャーナリストMegan Twohey氏。
性暴力と権力、性的同意、声を上げる難しさ、ビクティムシェイミング(Victim-shaming)などを巡る緊迫感のあるやりとりからは、両者に見えている世界の違いが浮かび上がってくる。 と同時に、Twohey氏の投げかける質問の鋭さに、とにかく脱帽。
“Border-Breaking”なジャーナリズム
アムステルダムにあるPakhuis de Zwijgerでは、ジャーナリズムにまつわるトークイベントシリーズ「Emerging Stories」を開催していて、どの回も大変興味深い。
「Who Pays for The News」という回には、「Are We Europe」というメディアが登壇していた。「Are We Europe」は、“Border-Breaking Stories(国境を越えるストーリー)”を掲げ、ヨーロッパ各国のニュースや、国を超えたイシューについて報じる非営利メディアだ。
例えば直近の特集では「植民地主義」や「スペインのコンキスタドールの遺したもの」、「白人の救世主コンプレックス」などが取り上げられている。イベントでは、彼らが一つのトピックについて異なる立場から語ろうとしていることや、記者のパーソナルな視点も重要視していることを語っていた。
イベント時点でメンバー数は250人、軌道に乗せるには2500人が必要だという。サブスクリプションもプランも紙の雑誌付きプランを増やすなど拡充しているそうだ。
以前紹介したFollow The Moneyと合わせて注目したい非営利メディアだ。