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物語の類型

物語のパターンは、古今東西で共通する部分が多く、様々な理論家によって分類されています。物語をより効果的に理解し、構築するために、物語のパターンを知ることは重要です。シェイクスピアの「36分類」として広く知られるものは、フランスの作家ジョルジュ・ポルティ(Georges Polti)が提唱した「36の劇的状況」を参考にしていることが多いです。また、物語の構造を理解するための「三幕構成」や、「ヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)」といった理論も存在します。以下に、これらを解説していきます。


1. シェイクスピアに関連する36の劇的状況(ジョルジュ・ポルティ)


ジョルジュ・ポルティの「36の劇的状況」は、物語や劇の中で登場する典型的な状況を36に分類したものです。以下にその概要を示します:


1. 哀願 - 圧力や状況のもとで、誰かが助けを求める。

2. 救助 - 誰かが危険にさらされ、救助者がそれを解決する。

3. 復讐 - 不正や裏切りに対する報復。

4. 復讐の代償 - 復讐がさらに悲劇を引き起こす。

5. 追跡 - 犯罪者や逃亡者を追いかける物語。

6. 災難 - 自然災害や社会的な困難に巻き込まれる。

7. 犠牲 - 主人公やキャラクターが他者のために自己犠牲をする。

8. 裏切り - 信頼していた人からの裏切り。

9. 謎解き - 謎や犯罪を解決する。

10. 狂気 - 精神的に不安定なキャラクターの行動。

11. 愛と憎しみの葛藤 - 恋愛と憎しみが絡み合う関係。

12. 誤解 - 誤解が進展の鍵になる。

13. 野望 - 権力や成功を求めるあまり、破滅に向かう。

14. 誘惑 - 人を破滅に導く誘惑。

15. 禁じられた愛 - 社会的、道徳的に許されない愛。

16. 犠牲的な恋 - 自己犠牲の結果としての恋愛。

17. 愛を貫くための試練 - 困難や障害を乗り越えて愛を守る。

18. 競争 - 他者と競争する状況。

19. 不当な権力 - 悪政や暴力的な権力者への反抗。

20. 親族間の対立 - 家族の対立や分裂。

21. 裏切り者の暴露 - 偽善者や裏切り者が暴かれる。

22. 犠牲的な友情 - 他者のために友人が自己を犠牲にする。

23. 取り違え - 誤解や誤ったアイデンティティの物語。

24. 失った人の帰還 - 死んだと思われた人物が戻ってくる。

25. 冒険 - 危険な冒険に挑む物語。

26. 愛の再発見 - 忘れ去られた愛や隠された愛を再び見つける。

27. 復活 - キャラクターが死や破滅から復活する。

28. 無垢の人間への攻撃 - 無実の人々が攻撃され、守られる物語。

29. 誤解された英雄 - 誤解される英雄の苦しみ。

30. 決定的な選択 - 生死を分ける選択や運命の岐路。

31. 憧れと挫折 - 夢や希望を持つが、それが崩れる。

32. 不当な虐待 - 弱者が権力者によって虐待される。

33. 希望の光 - 絶望的な状況に一筋の光が差し込む。

34. 禁じられた秘密 - 隠された秘密が物語を進展させる。

35. 過去との対峙 - 過去の出来事が現在に影響を及ぼす。

36. 運命の逆転 - 運命が突然変わる状況。


これらの「劇的状況」は、シェイクスピアの作品にも頻繁に登場し、例えば『ハムレット』や『マクベス』などはこれらのパターンを用いています。


2. 三幕構成


三幕構成は、劇や物語の一般的な構造の一つで、次の3つの段階に分かれています:


1. 第一幕(序章): 物語の世界観、主要キャラクター、そして問題や目標が紹介されます。冒険のきっかけや、物語のテーマもここで設定されます。

• 例: 『スター・ウォーズ』では、ルークが冒険に誘われるきっかけとして、R2-D2からのメッセージがこの幕に該当します。

2. 第二幕(対立): 主人公が目標に向かって進む中で、障害や対立が発生します。ここではキャラクターが成長し、物語の緊張が高まる部分です。

• 例: 『ロード・オブ・ザ・リング』では、フロドが指輪を捨てるために旅を続ける中での困難や対立が展開されます。

3. 第三幕(結末): クライマックスが訪れ、問題が解決されるか、物語が終結します。キャラクターは変化し、物語のテーマが総括されます。

• 例: 『アベンジャーズ: エンドゲーム』では、最終的な戦いとキャラクターの運命が決まる場面が第三幕に該当します。


3. ヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)


ジョゼフ・キャンベルの「ヒーローズ・ジャーニー」は、神話や伝説に共通する物語のパターンをまとめたものです。これは特に冒険物語に多く見られ、以下のような段階があります:


1. 日常世界: 主人公が普通の世界にいる。

2. 冒険の呼びかけ: 主人公が冒険に誘われる。

3. 拒絶: 主人公が最初は冒険を拒む。

4. 導師との出会い: 導師や助けを得る。

5. 最初の試練: 主人公が試練を乗り越え、成長する。

6. クライマックス: 最大の試練を迎え、主人公が変わる。

7. 帰還: 主人公が元の世界に戻り、その経験をもとに変化をもたらす。


このパターンは、映画『スター・ウォーズ』や『ハリー・ポッター』シリーズで顕著に見られます。


まとめ


物語のパターンや類型は、物語を構築する上で非常に有用です。シェイクスピアの劇に見られる「36の劇的状況」や、三幕構成、ヒーローズ・ジャーニーなどの理論は、物語の展開を理解し、効果的に作り上げるためのツールとなります。多くの有名な作品はこれらのパターンに従っており、物語の普遍的な構造を学ぶ上で重要です。

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