星々との邂逅2023 開催中
月光百貨店(兵庫県芦屋市)では現在 星々との邂逅:久保田昭宏作品展2023 を開催中である。写真家/コラージュ作家:久保田昭宏氏の4年振りの個展となる本展は、これまでの作家活動の中から今回が初公開となる最新作を含めた選りすぐりの20点+αをご紹介するものである。
作家の成長と作品の進化を、またその根底にある不変の感覚を味わって頂ける内容となっている。
また旧作についても今回新しい解釈を施しており、以前観たことがあるけれどドコカが違う…それを楽しんで頂くのも一興かも知れない。
せっかくなので、ここで出展作品を何点かご紹介したいと思う。
見た事の無い景色だけれど何故だかどこか懐かしいのは、
人が宇宙の記憶を宿しているからかも知れない…
部屋の一角に現出させた宇宙は、遥か遠くに我々の住む地球を望む。外から見た風景をこちら側から見る時、自分は何を見ている事になるのだろうか?と一瞬フワリと地軸を覆されそうな文字通りの無重力感に陥るが、空想の中では、人は何よりも自由なのだと改めて思わされる。この軽やかさは氏の作品の持ち味では無かろうか。
夢から目覚めた朝、それはもしかしたら夜と地続きになった夢なのかも知れない。そして其処でみた夢もまた…
考えてみればこれまでの人生も一瞬の夢のようだったと思えなくもない。そんな時間と空間の概念も凝縮されているような作品世界である。
作者の久保田氏もお気に入りの作という。以前プリントされた同作のカードにサインを添えたものを頂いたことがあるが、現在でもフレームに収められたそれは玄関で毎日出迎えて呉れている。
人気の作品である。何ともfantasticな風景であるが、稲垣足穂の掌篇『星を売る店』に着想を得た作品。
「…あちらではあまりに星を採りすぎたために、天が淋しくなって、もう今日では遠方に残っている星だけがチラホラと光っているにすぎないと申します」
タルホ氏は知る人ぞ知る作家であるが、小説家でありながら実に様々なアーティストに作品を創らせる、ナカナカに稀有な存在である。
今夜、作品を眺めながら、意識の空中散歩に出かけやうでわないか!
昏い空の下で星の光を夢みるように。。
作家はジョゼフ・コーネル宜しく、ボックスアート作品も手掛けるが、媒体は違えどもその世界観は不変であり、手法としては写真作品と同様のものといってよいであろう。
箱中に入れられた透明の球体は敢えて固定されておらず、コロコロ転がる様子や音がするのを趣と感じて頂ければという作者の意図によるもの。球体には細かいカットが入っている為、箱を傾けると何だか大慌てで転がり出すような感じがして愉しい。
今回は新旧取り交ぜての展示となるが、回顧展と銘打つとまるで作家が故人のように思われてしまう恐れがある(元々そういう意では無いのだが)為、敢えてそうしなかった。タイトルの「邂逅」は「回顧」と掛けたちょっとした洒落である。実に大人である…はっはっは。
氏の作品展が月光百貨店での初めての展示だった事もあって、作品との出会い、また作家との出会いの意も含む。
作家は今日までの間に色々な事があった。一時はかなりハードな状況だったと聞く。自分もまた然り…そしてそれ故に思うところもあった。
此処で一旦原点に立ち返り、色々と見詰め直してみたかった。あの時の感覚を今一度取り戻したかった。
今回こうして無事に展示が開催出来たのも、これまでの事を考えればまるで奇跡のようである。
開催にあたっては、作家の久保田氏と、彼を励まし支え続けるT.M氏にも感謝申し上げたい。
同展の開催は2/12(日)まで。この機会に是非ともご高覧頂けます様。
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