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鬱で休職7ヶ月目① 自分の守り方が何となく解ってきた話

8月に入り、少し走れる位に身体が元気になったので、時々家の裏にある競技場でスロージョギングを始めた。

早速、いつも上半身裸で走ってる変なおじさんに絡まれるようになった。歳は若く見積もって50代後半?の白人で背は170cm位で、加齢で弛んだ皮膚が、余ったように、顎のラインや腹回りの脂肪の上に垂れている。

その競技場にはいつも数十人位の人が運動しているが、半裸で走る人なんて稀。極たまに20代とかの若いスポーツマンが、鍛え上げた肉体を友達に見せびらかす様に上を脱いで走っている姿なら見かける。そんな程度。

このおじさん美しくもないのに見せたがりで嫌だなぁ、服着て欲しいなぁと思っていたら、話し掛けて来るようになった。
咄嗟に話したくない意思を見せて、あまり会話にならないように遮って、難を逃れた。

1週間後また半裸おじさんがいた。近付かないよう警戒して走ったが、30メートル位後ろをおじさんが走っていて、其の内追い抜かれるのを察知したので、レーンの一番外側の歩くゾーンにサッサと避けた。
それなのに半裸おじさんは私に向かって挨拶してきた。上半身の筋肉を見せびらかす様に胸を張り、曲げた両腕を左右にグッと開いてガッツポーズのようなものをして見せ、走り去って行った。
百歩譲って、手を上げての軽い挨拶とかならまだマシだったのに、やっぱこのおじさんおかしい。なぜ私に対して自信満々なんだと怖くなった。
マジでこの手のおじさんは、自分と同じ年代や体型の半裸のおばさんに同じ事をされたら、自分は、人は、どう感じるのかと想像してから行動して欲しい。まず多くの女性は自分よりかなり若い男の子にそんな事しないけど。

私はサングラスをかけ帽子を深く被っていたし、下を向いてたから何も見えてなかった風を装い、無視して荷物を取ってすぐに家に帰った。

3回目に会った日。いつ見ても半裸。おじさんは後ろから私を追い抜く時に、息を荒くして唸り声を上げ、存在をアピールしていた。怖い。
その後しばらくして、私の走りに合わせて並ぼうとスピードを落としてきたので、私はトラックを逆走して家に飛んで帰った。

この半裸おじさんのせいで、またフラッシュバックの日々が始まった。
怖い、気持ち悪い、私はいつでも醜くて頭のおかしな人に欲望を向けられ一方的に奪われる、私は自分を守れない、そんな思いが襲ってきて何時間も囚われたりする。

3週間ほど苦しんだある日、その苦しみを日記に書き出してみた。
苦情を書き立てムカムカ怒りを発散していると、

…… 次に話し掛けられたら「話したくないので」ってキッパリ言えば良いのでは……? と突如閃いた。

黙ってその場を耐えて、家でフラバに苦しむ事以外に、私にも出来る事があるぞ、と気付いた貴重な瞬間だった。

言い方さえ気を付ければ失礼でも何でもないし「話し掛けて欲しくないんで」と伝える事なんて、この国の女性は強いので普通にやる。だからこそ大人しい東洋人を選んで、こういう輩は話し掛けてみたりしているのだ。腹立たしい。
ならば期待を裏切ってやろう、と名案を思い付いた。この時は世紀の大発見のように思えてかなり興奮した。

「話し掛けないで下さい。運動に集中しているんで。」
このセリフがすぐ出るように準備して、今も走りに行っている。時間帯を午前に変えたので半裸おじさんには会っていないけど、次に変な感じの人が関わりを持とうとしてきたら、ハッキリ言うつもり。

別の話しを2つ。
1ヶ月前に何でもないストーリーをインスタに上げたら、一回歳上の元上司が反応してメッセージして来た。
性格に難ありでバツ2になり、もう何年も新たなパートナー探しをしている事を私は知っている。恋愛を期待して絡んでそうで嫌だなと思って、超手短に事務的な返事で済ませたら、自身のストーリーを一気に3つも送りつけて来た。一方的な俺通信が来始めて意味不明。

忙しくてインスタにログインしてない事にして、その3つの俺通信を誤って既読にしないよう細心の注意を払い、気付いていない風を装ってきたこの1ヶ月。
3日前に追いメッセージが来ていた。何で絡むの?と暗い気持ちになった。

2日前には、元同僚がMessengerを使って連絡して来た。長い事会ってないけど元気?っていう冒頭部分のみ見れる。
この男もしつこくて、「最近どうしてるか聞こうと思って電話した」と1年近く前に私の留守電に伝言を残していた。
いや、一度もそんな近い仲じゃなかったし。と完全無視したのに、私が着信に気付いてないだけとでも思って、今度はMessengerから接触を試みている。

この男もパートナー探しに必死で、独身パーティーに積極的に参加していると言っていた。私は当時は彼氏がいて、その彼氏も同じ職場だったのに、私にもグイグイ来て何か元彼に対しても失礼な男だったなと思った。だけどこの男は上司の友達で、短期雇用なのに見えない権力もある人だったので、私は嫌な顔ひとつせずに接していた。

2年近く会ってないけど、未だに女性を探しているんだろう。無理もない。自分の孤独や満たされない性欲を埋めたくて、女性を使おうとガツガツしてるのが一番良くない。短期の仕事を転々としている人だったし、見た目で女性に好まれるタイプでもない。

私はつくづくこういう人達に言い寄られやすい。
女性からは滅多に選ばれなさそうな感じなのに、すごく選り好みし、パートナーを探し続け、身の丈に合う同世代の女性は嫌だと言い、一回り下と出会って逆転?的なものを狙っている人たち。
自分の不足をパートナーから補ってもらおうとするのは、私も以前は一人で生きられない恋愛依存症だったから良く分かるけど、歳だけは近い方が良い。昔から一回り上とかの男性に言い寄られるのなんて、相手が異常者に見えて、恐怖以外の何物でもなかった。

またフラバが始まった。

日記を書き始めた。

私は男女共に、出会いがなくても、恋愛をしてなくても、そんなの気にせず、趣味に全振りして楽しく生きられる人が好きだ。この感覚を持っている人としか、人間的に付き合えない。女友達でも避けた方が良い気がする。
今こんなに煩わしいんだから、今後は余程の理由がない限り、異性とは連絡手段を交換しない事が最優先事項だ。

色々書き出して整理してる内に、既読スルーすれば良くないか?何で私が悪い事したみたいに、気付いてない風を必死で装って逃げているのだ?と気付いた。
いや寧ろ私が嫌がってる事実に気付いてもらった方が、今後連絡してこなくなるから良いんじゃないか?という点にもようやく気付いた。

ヨシ、堂々と既読を付けて無視をしよう。と思い切って彼らのメッセージを全部見た。相変わらずの俺通信と近況伺いだった。
苛ついたのでブロックまでしてしまった。もうこの手の飢えた人達とは関わりたくない。ブロックで良いわ。

私はトラウマのせいで怯え過ぎているのだなと思う。彼らはまるでモンスターの様に感じるし、自分は無力なんだと思い込んでいた。
メッセージなんて無視で良い。そして縁も切っていこう。

私は私と世界の間にしっかり境界線を引く。私が好きではない人は、私と直接コンタクトを取れない様に自ら手を打つ。それは危険でも怖い事でも悪い事でもなく、当たり前の事。こうして私は私を守る。守って良い。

7月に入って、父親が一方的に頻繁にLINEを送ってくる様になっていた。昨年半ばから未読無視していたのに、時々LINEが来ているのを知ってはいた。
例え私が返事をしなくても送ると決めた様だ。何とも私の父親らしい。
父親としての役目を果たしている、自分は無視される様な悪い事を何もしていない、どんな時も娘を気に掛ける良い父親というのを本気で演じているのだろう。

性的虐待までしてたくせに、「子どもの為になら死ねるのが父親と思って、真剣に向き合って子育てしてきた」と数年前に言われた時には、重過ぎて相当引きずった。この言葉はカウンセラーにもまだ話せていない。

今も父親のトラウマ治療に苦労している。私の奥底に想像以上の深い怒りと悲しみ、惨めさ等が眠っていて、解離して麻痺する事でどうにか生きてきた。

カウンセラーと少しずつ治療している最中なのに、父のLINEが来るとせっかくの治療が乱されてしまうので、1ヶ月前に思い切ってブロックした。
スッキリしたし安心した。おかげで治療がグッと進んだ。
その経験があったから、今回みたいに嫌だと感じる男性から身を守れるようになってきたのだと思う。

倒すべきラスボスは父親で、モンスターみたいな望まない輩は、日々サブキャラとして次々登場してくる。目の前に現れたらその都度やっつけていけるほど心身ともに回復してきたなと最近は感じる。本来の力強い私が目覚めてきた。




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