中国のユニコーン企業"MiniMax"がリリースしたText-to-Video動画生成AIがすごいらしい
中国の生成AIルーキー"MiniMax"
中華人民共和国を代表する世界的なテクノロジー企業「アリババ」（阿里巴巴集团、Alibaba Group Holding Limited）が、大規模言語モデル（LLM, Large Language Models）の研究開発に取り組む中国の生成AIルーキーである"MiniMax"（ミニマックス）の資金調達ラウンドをリードし、6億ドル以上を出資したという記事を目にした。
そのMiniMaxの動画生成AIが、すごいらしい。
"MiniMax"の「海螺AI」（ハイルオ エーアイ）
すごく気になったので、実際にそのサイトにアクセスしてみる。
海螺AI - MiniMax 旗下生产力产品，你的AI伙伴，10倍速提升工作学习效率
海螺AI是 - MiniMax基于自研的多模态大语言模型为用户打造的AI伙伴, 可以帮你智能搜索问答、精准识图解析、沉浸语音通话、专业/创意写作、文档速读总结、还有独家悬浮球功能帮你把琐事化繁为简。
海螺（ハイルオ）AI - MiniMax の生産性向上製品、AI パートナーは、仕事と勉強の効率を10倍高速に改善します
「海螺（ハイルオ）AIは、MiniMax が独自に開発したマルチモーダル大規模言語モデルに基づいてユーザー向けに作成されたAIパートナーであり、質問と回答のインテリジェントな検索、画像の正確な認識と分析、没入感のある音声通話、プロフェッショナル／クリエイティブなライティング、ドキュメントのスピードを支援します。独自のフローティング ボール機能を使用すると、些細なタスクを簡素化できます。」
MiniMaxの海螺（ハイルオ）AIに出来ること
海螺AIに関しての概要は上記の通り。そしてWEBサイトのトップには、「有问题，为什么不问问神奇海螺呢？」と書かれたウインドがある。
「気になることがあれば魔法の海螺に聞いてみてはいかがでしょうか？」ってこと、つまり"ChatGPT"のような生成型人工知能チャットボットが使えるってことだね。海螺っていうのは巻貝だろうか？
その下には、「创作音乐」（音楽を作る）、「创作视频」（ビデオを作成する）、「帮我识图」（写真を読むのを手伝ってください）、「帮我写作」（書くのを手伝ってください）というボタンがある。
生成AI（GenAI）による、音楽生成、動画生成、「写真を読むのを手伝って」というのは写真を見せるとそれが何かを教えてくれるようである、"Google Lens"（グーグル レンズ）みたいなことかな。そして文章生成が出来る。画像生成はないみたいだけれど、なかなかオールラウンド、いろんなことが出来るんだね。音楽生成と動画生成には「限免」って書かれている、期間限定で使えるってことかな。
使ってみたいけど・・・、
中国製AIサービスを利用するリスクと危険性について
さて、このAIサービスを利用するには、携帯電話番号でログインする必要があるのだけれど、結論から言ってしまうと、そのリスクや危険性を考えて、ぼくは現時点では、たぶん使わないかなあ・・・と思う。
中国製AIサービスの技術はたぶん高いんだろうと思うが、個人として利用するにしても、リスクや危険性が大きいのではないかと考えるからである。以下が懸念する理由。
中国政府による個人情報の収集や監視の可能性
中国の企業は、政府の求めに応じてユーザーのデータを提供する義務があるという話を聞いた。つまり、携帯電話番号でログインしてAIサービスを利用することで、その行動や思考などが個人情報と紐付けられて、監視の対象になる可能性がある。
中国製の生成型人工知能チャットボットが特定のイデオロギーを持つようにプログラムされている可能性
極端なことを言えば、利用者あるいは社会全体を中国政府の影響下に置くためのツールであることが考えられる。つまり、例えばチャットボットに対して入力した内容によっては、それを否定して訂正されたり、あるいはそれ以上の何かをされたりすることがあるかもしれない。
変なこと入力できないよね・・・。
中国製AIと米国製AIの違いについて
じゃあ例えば、ぼくが既に利用しているアメリカ製のAIサービスはどうなの
か？と言う話に、当然なる。リスクや危険性はないのか？と。
もちろん、リスクや危険性がまったくないことはないと思うが。
ぼくの知る限りでは、アメリカではプライバシーの保護や、あるいは倫理的な側面にかなり重点が置かれているようである。例えば"ChatGPT"しかりGoogleの"Gemini"しかり。そしてそれはチャットボットに限ったことではなく、画像生成AIや動画生成AIなどのAIサービス全般におけることだろう。
しかし、中国ではそういった制限がかなり緩いらしく、個人のプライバシーに関してもそうだが、例えばAIの軍事利用なんかもかなり積極的に行われているらしいと聞く。まあそれはアメリカとて同じことだろうけれど、突っ込んで言えば、中国ではAIの開発と応用においての倫理的な歯止めが、それこそかなり緩いという話は聞いたことがあるので。
ぼくはいままで、中国製のAIサービスを使ってみたことはないので、実際のところ、どうなんだろか？というのが、現段階であるが。
中国製のAIサービスは日本の携帯電話番号でもログイン出来るの？
ちなみに、中国以外の海外ユーザーが中国のAIサービスを利用するには、中国国内の携帯電話番号を持っている必要があるという話を聞いたことがあるが、MiniMaxの海螺AIに関して言えば、携帯電話番号入力の際に日本の番号が選べるようになっていたので、たぶん日本で契約している携帯電話番号でも使えるっぽい、もちろん他のすべての国にも対応しているようである。
でもさ、中国国内のネットユーザーはさ、例の「金盾」（ジンドゥン、金盾工程、Jīndùn Gōngchéng）があるから、海外のAIサービスは利用できないって話だよね。
「金盾」（ジンドゥン）ってなんだ？
金盾とは、中国本土で実施されている包括的な情報管理システム構築プロジェクトで、正式な名称は全国公安工作信息化工程(全国公安業務情報化プロジェクト)、ようは中国政府が運用するインターネット検閲システムで、有害情報へのアクセスを遮断している。サーチエンジンの検索ワード、電子メールとかソーシャルメディアとかメッセンジャーアプリの送受信記録などを検閲しているとされている。
金盾工程を英語で言うと、"Golden Shield Project"（ゴールデン シールド プロジェクト）、俗にグレート・ファイアウォール（防火長城、Great Firewall）、GFWとも呼ばれている、炎の万里の長城か・・・。
こわ〜っ！
海螺AIの動画生成はどうなんだろう？
話がだいぶ寄り道してしまったが、さて本題である動画生成AIは、どうなんだろう。いちおうサービスのトップにはアクセスしてみる。
大きく「海螺AI创作视频平台」（海螺AI動画生成プラットホーム）と書かれているね。
プロンプト入力ウインドには、
请描述想生成的视频内容。例：
1. 一对情侣牵手，在繁星点点的夜空中漫步，背景中的星河在缓慢的移动
2. 一个人在海边漫无目的的走着，远处夕阳的霞光洒满大地
3. 一条小丑鱼，身上交替着橙色和白色的条纹，在它的岩石海底栖息地中游动
プロンプトの例が書かれている。
生成したいビデオコンテンツについて説明してください。
例:
1. 星が輝く夜空をカップルが手を繋いで歩いています。
2. 砂浜をあてもなく歩いている人がいます。
3.オレンジと白の縞模様が交互に現れるピエロが、岩だらけの海底を泳ぎます。
プロンプトの文字制限は500文字。
生成された動画のサンプルも公開されていてる。クオリティはまあ、確かにある程度高いけれど・・・。
あと、画面右上に"Discode"（ディスコード）のアイコンが！ディスコード使って動画生成できるのか！中国国内でDiscodeって使えるの・・・？
そして、動画生成は、ログインしなくても・・・出来るっぽいぞ・・・。音楽生成に関しては携帯電話番号でログインしないと使えなかった。
それなら生成してみようというわけで、まずは中国語でプロンプトを入力して生成、本当に生成出来るんだろうか？
プロンプトの内容は、「香港の九龍地区の街を歩いている霊幻道士とキョンシー」、霊幻道士とキョンシーって中国語でなんて書いたらいいんだろうと悩んだが、ひとまず「殭屍先生」と「殭屍」って書いてみたけれど・・・。
「生成视频」生成動画ボタンを押すと、「前面还有88位，预计等待4分钟」と表示される。「先客は88名なので待ち時間は4分と予想されます。」ということだろう。先客の数字が減っていき、待ち時間も減ってゆく。順番が来たら、生成がはじまるのだと思う。
「正在生成，退出后AI会继续生成」、動画生成中・・・。
はい、ちゃんと生成できました。期間限定的サービスみたいなこと書いてあったけど、いまならログインもなしで動画生成し放題なのかな・・・。勝手に個人情報を取得されてたりするんだろうか？
生成された動画自体のクオリティは、まあ今や、動画生成AIで生成できる動画のレベルが異常に進化しすぎて、他のサービスと比べても、このくらいのクオリティだとちょっと低いくらいに感じちゃうけれど・・・、かなりちゃんと動いてはいる。
霊幻道士とキョンシーだと言われれば、まあそうなのかな・・・。
生成した動画は、ブラウザを終了すると「我的」という自分の生成リストからはなくなってしまうようである。携帯電話番号でサービスにログインした状態で生成すると、もしかしたら履歴として残るのかも。その横のタブにある「精选」というデフォルトの生成動画のサンプルにも変化はない。つまりユーザーが生成した動画が追加されてゆくわけではないようなので、ログインせずに生成した動画は、サービスの品質向上の糧として利用されるのだろう。
てなわけで、MiniMaxの動画生成AIを使ってみたよ、まあ何事も経験だな。ログインしなくていいなら、これ少し使ってみようかな。
今回は、ここまで。
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