ポッドキャスト|AIラヂオ007後編|AIアーティストはどうすればNFTコミュニティで食べていけるのか?(後編)【文字起こしつき】
みなさま、こんにちは!テック系フリーランスライターの五条むいです。
テクノロジーとの共生でハッピーになりたいHarmonic Society株式会社の師田賢人とテック系フリーランスライターの五条むいがゆるく愉しくお届けする、〈AIラヂオ007〉の後編をお届けします!
文字起こしもついてます。よろしければ、しばしお立ち寄りください。
こちらは〈AIラヂオ007前編〉です。
AIラヂオ007後編の文字起こし
(AIラヂオ007前編からのつづき)
師田:そうですね。たとえばコミュニティっていっても、本当に全員がボランティアで、何の秩序もなく自由意思でみんな協力し合ってるかっていうと、割とそうでもなくて、例えばNFTの発行元みたいなのがいるわけじゃないですか。
そうすると、たとえばDISCORDなりでコミュニティを運営しているとしたら、このDISCORDのコミュニティマネージャーみたいなのって、メンバーからの選挙だとか、メンバーからの信任によって選ばれたりするんですね。
その人が明確にしきったりして、そのコミュニティの中で役割が与えられてるパターンって意外と多いんですよね。
だからそういう人たちは、たとえばNFTに関連するトークンや新しいトークンとかが与えられたり、報酬としてとか、その働きに応じて与えられるっていったところが、分散型組織というか、そういうものとも関わってくるんですよね。
五条:うん、そのおはなしって分散型組織が実現できるっていうよりはむしろ、今の師田さんのお話でいうと、最近、評価経済とか評判経済とか考え方が出てきてますけど、お金の交換価値が価値の基準ではもうなくなっていってると。
どこかにリーダー的な人がいて、そのリーダーの他者からの評判とか評価がコミュニティの求心力の源だっていう考え方が。
そうするとDAOにしてもNFTコミュニティにしても、このエコシステム上のコミュニティっていうのは、ある種の評判を備えたリーダーがいて、その人に引きずられて動いてってるような、そんなイメージが浮かんできますね。
師田:そうですね。だから完全にメンバー全員がフラットな組織というんじゃなくて、やっぱDAOの中でも、ある程度、ストラクチャーみたいなのがあって、報酬とかもらえるたびにメンバーが喜んでくれたりっていうのをやりがいに、みんなそれぞれ自分の役割を果たしていくみたいなことだったりとか。
あとDISCORD使ってたら、よくわかると思うんです。新しいプロジェクトを立ち上げたりとか、何か新しい取り組みをしたりだとかって、やりやすいプラットフォームだったりしますので、そういうDISCORDの特徴とかをうまく生かしながら、1人1人のNFTコミュニティの1人1人の構成員が貢献していくみたいなのが、よく見られるのかなと思ってます。
五条:結局、NFTの仕組みにしろ、ブロックチェーンの仕組みの上で動いてるわけですから、関係性のトレーサビリティがずっと追えていくわけですよね。だから関係性の維持がしやすいし、持続可能性が根本的に高まりやすいスキームの上で動いてるってことは言えるのかなと。
師田:あとは、たとえばNFTがコミュニティのデジタルIDと結びついてると、行動のログとかとれたりしますよね。だからその人は何で貢献したかとか、その人の信頼だとか実績っていうのが、全部オンライン上で記録されていくっていうようなことが、ある意味、NFTとかあのブロックチェーンの特徴の一つで、それは改ざんできないし、後から変えることができないものなので、そういったものを積み上げることによって、そのコミュニティ内でより良いポジションになっていくとか、そういうのことがブロックチェーンの特徴を生かしていて、他のコミュニティとかとはちょっと違うのかなっていうとこであると思いますね。
だから追跡したログ、1人1人の行動とかをAIで処理して、このNFTのコミュニティの特徴は何かとか、構成員が、今、どういうことを考えているのかとか、ビッグデータでAIで分析できると思うんです。
というか実際そういうものもあって、オンチェーン上のNFTとかのアクティビティを分析するのに特化したサイトとか、そういうのもいくつかあるんですけど、AI分析とか、NFTの活動が全部オンライン上にログとして残っていくっていうのと相性がいいのかなっていうのもあります。
五条:市場経済に対する批判の一つとして、たとおえばアマゾンでお金を使ってモノを買っても、関係性は築けないっていうのがありますもんね。1回こっきりの取引で、そこで終わっちゃうと。
そうするとそういう市場経済のメカニズムじゃなく、社会関係資本的な話があるじゃないですか。関係こそが資本であり価値だと。だから新しい社会システムの実装の基盤としてとらえた方がいいんだろうということを私は感じますね。
師田:そうですね。そうなってくるとNFTとかって何か突飛なアイディアとか、突飛な概念じゃなくて、結構これからの、いわゆる社会的なプロジェクトとしていこうといったときに、土台となるフレームワークになっていくんじゃないかなとボク自身は思ったりもします。
五条:ボクなんかは市場経済の爆発的な力っていうのは、ここ100年ぐらいは衰えないっていう気がしてるので、その市場経済とか資本主義が、結構、長い間、続くんだけれども、片隅に、こういうNFTコミュニティが、ポツポツ、ポツポツ、生まれていって、いつかはネズミの方が恐竜を乗っ取ってしまうかもしれない時代が来るかもという気はしてますね。
師田:そうですね。だから資本主義とかっていう大きな枠組みの中に、単発的に離散集合的に、NFTコミュニティとかが登場したり、消えていったり、合体したりっていうのがあると思うんですけど、そうすると気になってくるのは、インターオペラビリティ、つまり相互運用性が実現できるのかっていうことが結構気になりますよね。
AコミュニティがBコミュニティと協力してプロジェクトをやったりっていうこととか起こると、結構、面白いのかなと思っていて。
NFTプロジェクトが簡単にコラボできるような仕組みがあったら、イノベーションは組み合わせから起こるので面白いのかなって思ってます。
五条:うんそうなってほしいっていうのは私も全く同感で、新しい社会システムみたいなものが生まれてってほしいって話ですよね。
とくに私は、好きなコミュニティの中に引きこもって幸せに暮らすというのを、ものすごく夢見てるんですけど。
一方で、「そうなりたい」ではなくて「そうなりそう」という話が、逆方向にいきそうですごく怖いなと思っていて。
前回も出た話なんですけど、今のビッグテックが支配する時代が当面続くんだろうということを考えると、インターオペラビリティ、つまり相互運用性を担保することなんて、彼らにとってはもう害悪でしかないですよね。
だから社会システム的にはなんだろう、レジスタンス的にコミュニティを実験的に作ってって、そん中でこの指とまれっていう、カリスマみたいな人が現れてきたら、結構そのコミュニティは大きくなるかもっていうしますね。
師田:はい。ただやっぱりゲリラ的なものだったりするので、ブロックチェーンの特徴の一つですけど、分散的なものって、潰せないじゃないです。たとえば分散型ファイルストレージシステムとかありますけど、1個のサーバーが落ちても、他のノードが動いてたら、データっていうのはなくならなかったりするじゃないですか。
だから中央集権なものって、分散的なものを破壊することはなかなかできないんですよね。それがしかも国籍とかに縛られてないとか、効率とかそういった問題にも縛られなくなってくるし。
そもそもブロックチェーンとか暗号資産の思想って、いわゆるサイバーパンクっていう人たちで、技術の力によって個人の匿名性を維持していく、そういうイデオロギーを持った人たちのメーリングリストが、元々基盤となって、ビットコインというのが作られたっていうふうに言われているんで。
そういうふうな匿名性だとか分散的な検閲体制だったりっていったものはイデオロギーとして入ってるんですよね。ブロックチェーンの中に、うん。
五条:それはその通りだと思っていて。でもインターネットの歴史を振り返ってみると、Web1.0の時代にはインターネットって分散システムだから、民主社会がようやく実現できるって言われていた一方で、Web2.0になったら、はっと気がついたらビッグテックが支配してるわけじゃないですか。
つまりね、やっぱり資本主義のメカニズムが、持続しそうだということは、言い方を変えると、ビッグテックが猛威を振るう時代がまだ続きそうだというネガティブな話もありますよね。
師田:そうですね。何かWeb2からWeb3への移行が進むかっていうとこだと思うんですけど、そこでやっぱ重要な役割を果たしてくのがクリエイターですよね。
今まではビッグテック、たとえばFacebookで投稿したつぶやきとかが、運営のさじ加減で削除されてしまったら、それは所有してると言えないわけです。
だからインターネット上で所有っていう概念がプラスされたのが実現されて、クリエイターたちが自分で作ったものを、ビッグテックとかから独立した形で自分で維持する、自分で自分のものとしてデジタルな権利を所有するっていうのが本質なので。
ビッグテックからの検閲とかそれによる何か、例えばコンテンツが削除されたりとかっていうことが、結構、著しく害をなすようになってきたら、それを守ろうかっていう動きがゆり戻し的に発生してきて、結構盛り上がるのではないかなと思うんですけど。
ただやっぱり五条さんおっしゃるみたいに現実的な視点で考えると、やっぱりWeb3のブロックチェーンのユーザーインターフェースってあんまり便利なものではなかって使いやすいものではなかったりするので、一般の人にそういう概念が根付くかっていうと結構また難しい問題とも思います。
五条:今回1回で収まらないテーマになってきたので、次回で続きと思うんですけど、やっぱりそこらへんですよね。「そうあってほしいという話」と、「そうなりそうだという話」を、どこで境界線を引くかみたいなことは、ちょっと継続で議論していかなきゃいけないみたいですね。
師田:そうですね。次回以降に持ち越しですかね。
五条:はい。了解です。
師田:はい、こんな感じで、今回第7回のAIラヂオをお届けしました。こんな感じでAIとか、周辺トピックに関する話題を毎週お届けしているので、ぜひ気になった方はフォローしてみてください。それではありがとうございました。
五条:どうもありがとうございました。