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【詩】二十六時の女子大小路


二十六時の女子大小路
賞与と傷病手当の浪費
鬱憤と鬱屈の飛沫
独りじゃ心晴れない始末

明日こそはと将来に負債ばかりを相続させ
今日を手に掛けて
昨日を埋葬して
振り向けば過ぎ去った日々の墓標たち
そのさなかに祖母が笑顔で立っているのが見える

友達だと思っていた奴ならいた
でも結局友達にはなれなかった
三日月の冷笑
星々の嘲笑
心の隙間を虚勢で埋め合わせる頃には
東の空が核融合で真っ赤に染まって新しい一日の幕開け

満月が泣いているように見えるのは
地面に落ちた幾千幾万粒の涙が
夜空を駆け抜けて衛星軌道と交差したからなんだぜ

そんなこと知るか馬鹿野郎
あんたはそう言って俯いたけれど
こっちだってそんなこと知るかよ馬鹿野郎

おれは涙の人間だ
でも自分のために泣いたりしない
いつだって誰かのためにこそ泣いたんだ
ところであんた辛そうに笑うんだね
それもまた誰かのための笑顔なのかもね

二十七時の女子大小路
意気地なし鼻つまみどうし
歌いながら地球から離脱
二人なら越えられる師走


【自作まとめ】


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