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【詩】忘れ物


 雨だというのに傘を忘れて
 駅まで走る帰り道
 額に貼りつく前髪が
 なんだか惨めに見えました


 アンテナはいつも圏外で
 自分はどこにいるんだろうって
 どれだけ地図を開いてみても
 居場所も帰る場所もなく


 生まれた場所はおぼえてますが
 思い出などはほとんどなくて
 自分が自分であるって証拠も
 どこか置き忘れてきた次第です


 だったらせめてこれだけと
 後生大事に持っていた夢は
 越しがたい夜に握り潰され
 路肩の空き缶みたいです


【自作まとめ】


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