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屑木夢平
2020年11月30日 12:32
いろんな国へ渡っても、最後は生まれた場所へ戻ってくる鳥のように、気がつけば倉橋由美子氏の作品を読み返している私がいます。 氏の作品はその時期によって文体から受け取るイメージが異なり、初期には翻訳文学を思わせる鉱物的な文章であったのが、作品を追うごとに柔らかく、植物的に変わってゆきます。そして最後の小説作品である『酔郷譚』に至っては、酒をテーマにした短編集ということもあってついに水のように滑ら