【企画力の筋トレ】思考回路をなぞる
企画力を上げるために色々なことをやりましたが、
一番力がついたと感じる企画筋トレが
【思考回路をなぞる】
という練習方法。
企画本やセミナーの盲点
世の中に企画作りの原理原則やケーススタディはたくさんあって
大抵は綺麗に整理されていてわかりやすい。
シンプルに洗練された発想法が売られている。
しかし、実際の企画時の頭の中はこうだと思う。
思考はあちらこちらに飛び、進んでは戻り、分かれ道に袋小路、たまに遭難しては数時間も同じところをグルグルしたり、思いがけず発見がスタート地点にあることに気付いたりして閃き、アイデアにたどり着く。
だからノイズを排除した状態のケーススタディや企画法を見ても、実際そんなにうまく使いこなすことが難しい。
すごいアイデアマンに「企画する時に大事にしている事は何ですか?」って聞いて、すごい「なるほど!」っていう答えをもらっても企画力が伸びないのはそういう原理原則の運用方法が実際の仕事の中では分からないからだと思う。
アイデアと課題が地続きになるまで
そこで僕がやっていたのは素晴らしいケーススタディを見つけたら
企画者の気持ちになりきって、どんなオリエンがきたかを妄想し、
そのオリエンからアイデアにたどり着くまでの思考回路を丁寧になぞる。
丁寧に辿っていくと、どこにジャンプがあって、そのジャンプはどうしたら自分だと思いつけるか、アイデアと課題が地続きになるまで考えると自分だけの発想発散方法を体得できる。
慣れてくると構造化できるようになり、パターンが見えてくるので、発想法としてストックしていく。
そうして僕の企画力が上がった(気がする)
閃きを放置しない
この企画筋トレの一番大事なことは
他人の思考回路だけではなく、自分が閃いたときこそ、自分の思考回路をなぞること。
どうしても企画業務を始めた頃は手持ちの技術が少なく、一瞬の閃きに頼りがち。
でも、その閃きには再現性がない。
だから次の打ち合わせや他の案件でまた苦しむ。
このループから抜け出すために自分の思考回路をなぞる。
なぜ閃いたのか?この時こう考えて、課題をこう読み替えて、このテーマで脳内ブレストして、この思い出と結びついてこの企画アイデアにたどり着いたというシナプスの結び付きを紐解いていく。
しかも、できるだけフレッシュなうちに。
実際に思考回路をなぞってみた
散々言っている「思考回路をなぞる」とはなんぞやということを
自分が実際に企画したアイデアでやってみたいと思います。
取り扱うのはこの企画
数年前のヤングカンヌPR部門の日本代表選考会で提出したアイデアで
「移民受入に対する寛容な空気作り」というお題でした。
アイデアは
「ユニフォームの選手名/スポンサー名が英語から着ているプレイヤーの母国語に変換される」というもので、
様々な国から集まった一流のプレイヤー達が一つのチームで人種や文化の違いを乗り越えて協同し躍動することで感動を作っているということを可視化。多様性が生むパワーをPRするという狙いです。
コンテストの結果としてはたしか約200組中のファイナリスト10組ほどに残ることができました。
このアイデアをどう思いついたか?
思いついた過程を文字起こししてみます。
まずイメージの棚卸しが口火となりました。
イメージの棚卸し
自爆テロや移民が起こした犯罪などのニュースが先行しており、移民にはなんとなく怖いイメージがあるなぁ。
ゴールの設定
じゃあ、もっと良い面に気付けるようなニュースがあればいいのに。
テーマブレスト
実際に移民のおかげで盛り上がっている良いことってあるかな?
・・・サッカー
特にヨーロッパなんて世界中から帰化したプレイヤーが集まってて、どんどんレベルが上がっている。確かあの選手もあの選手も移民だったはず。
しかもサッカーはエンタメとして注目され、ニュースバリューも高い。
じゃあ、どうやって様々な人が一緒になって力が発揮されることを可視化しよう?
モチーフの選定
サッカーといえば、最近サッカーユニフォームを使ったカッコ良いPR事例があったな。ユニフォームってナショナリティを発露する記号性の高いモチーフだなぁ。
ひとつにまとまってるのに国ごとの違いが作れたら面白いよなぁ
違いを作る・・・違いを作る・・・
普通はみんな同じものを人よって違うものにする・・・
しかもその違うものにすることに意味を持たせてメッセージにしたい・・・
普通はみんな同じもの・・・
そういえば、ユニフォームに載っている言語ってだいたい英語よなぁ
→それを各選手の母国語に変換すれば、様々な人種や文化の人が共存繁栄していることを表現できる!
エグゼキューションを詰める
世界移民デーにチャリティマッチを開催し、限定ユニフォームとして販売。選手着用シャツはオークション。得た収益を移民保護財源として寄付。などアクションにつなげる展開やその後の広がりも作れるので、強いアイデア!これで行こう!
そうしてたどり着いたアイデアでした。
「そう言えば」
こうやって思考の過程を書き起こすと、ジャンプを生むために多用するフレーズがあることに気づきます。
僕の場合だと「そう言えば」
今回のNative Uniform以外でも企画時は頻繁に使います。
課題の特定→ゴールの設定→メッセージの設計まではロジカルに決めていき、メッセージの表現方法でジャンプを作るときにテーマやモチーフを「そう言えば」で連想していく発想法が僕の中で一つの勝ちパターンとなりました。
そうして自分の中での発想法が確立してくると、先人達が解く原理原則はもしかしてこのことを言ってたのか?とセミナーや本で書いていることが自分なりに理解できます。
今もいい企画を閃いた時は書き起こすようにして新たな企画法の発見に努めています。
僕の方法が少しでも参考になれば幸いです。
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