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「世界の果てに、ひろゆき置いてきた」がよかった。
ここ数日で何人に紹介しただろうか。
「amebaTVでやってるひろゆきの番組がね!」
反応は微妙だ。
構わず概要の説明に入る(迷惑な話だ)。「ひろゆきがアフリカ横断の旅をするんだけどね!めっちゃ良い人だし、おもしろいのよ」「東出なんとかも途中で合流してね!」ここで大体アウト。
「え、あの東出?」
いや、気持ちは分かるのだけど...
メディアというものは怖い。彼は政治家でも無ければ、我々に直接迷惑をかけたわけでも無いのにこんなに嫌われているのか。一方の”ひろゆき“に対して嫌な感情を露わにするひとは意外といないがどちらかと言えば「興味がない」という反応だった。
そこまで無関心と嫌悪感を向けられてしまうと流石に熱弁を続けるわけにもいかないので、ここに吐き出すことにした。
最初はYouTubeで偶然ダイジェスト版を見た。オープニングの砂漠をひろゆきが歩くシーンが印象に残る。もともと海外旅行が好きなので、無料で見られるなら良いなと思いamebaTVをダウンロードした。
そんな、軽い気持ちで見始めたがこれが面白い。
ルールは簡単で、ナミブ砂漠に放り出されたひろゆきが軍資金だけ持たされてインド洋を期限内に目指す。ルートの決定も、交通手段、宿の手配も自分でやる。スタッフは、豊川ディレクターともう1名サブディレクターくらいだろうか。途中でゲストが合流するが、あくまでも目的はゴールに期限内に到着することだ(ひろゆきはここに執着する)。
ひろゆきが旅の終わりのインタビューで答えていたのは「旅はゲームだ」ということ。旅好きではあるものの普段は家に篭ってゲーム漬けらしい。帰国後やりたいこともゲームの名前を2つ挙げていた。そんなひろゆきにとって今回の旅は、イージーモードだったらしい。RPGのリアル版とでも言うのだろうか、最終目的を視野に入れながらミッションを次々とクリアしていく。仲間を増やす。ご飯を食べる。眠ると次の1日が始まる...
多少のアクシデントが起こっても、そのミッションをクリアーしていくだけ。全く感情無く、容赦無く突き抜けていきそうなイメージを勝手に持っていたが決してそうではなかった。この点がこのドキュメンタリーの面白いところだ。
ひたすら論破して、容赦なく最短でゴールを目指すのかと思いきや、豊川D(おっちょこちょいで憎めないディレクター)にマジギレしたり、ばつが悪くなると宙を仰いで考え事をしたり、東出と笑い合ったり...それはゲームの主人公では表現できない人間らしさだった。そして、いわゆる“芸能人”にはできない無防備な姿に見えた。
また、ゲストの東出も人間味のある興味深い人物だった。読書(それも、割とマニアックな)が好きで文庫本をいくつも持ってきているのも好感がもてるし、素朴な疑問に対して思考を巡らすタイプなのも意外で面白い。そして、何より優しい。全てを受け入れてしまいそうな人格。だから...と妙に納得してしまう。
2人とも“素”で、旅を楽しみ、異文化に興味を持って、受け入れる。これが見ていてとても清々しい気持ちにさせる。
「世界の果てに、ひろゆき置いてきた」
少しでも興味を持ったら是非みてみてほしい。
東出はアフリカ人の暮らしを「足るを知る」と表現していたが、私にはあなた方2人が「足るを知っている」に写った。無性に羨ましい。
残業終わりに中央線に揺られながら。