読書記録_006【はかれないものをはかる】
◆ 詳細
出版社:青幻舎
著者:工藤あゆみ
出版社URL: https://shop.seigensha.com/products/978-4-86152-673-2
著者サイトURL: http://www.ayumiart.com/pg1401.html
◆ ポイント
・もともとはイタリアで出版された詩集&イラスト集
・日本語、英語、イタリア語の三か国語表記
・親しい人や励ましたい人への贈り物にしやすい本
◆ 感想
言葉が見つからなくて押し黙ってしまったり、胸に思いをため込んでしまう人に読んで欲しい本である。
「悲しみで濡れた僕が乾く時間を計る」
「誰も何も傷つけないジャンプの高さを測る」
「憎しみをふりきるエネルギーを測る」
「積み重ねたいいわけのもろさをはかる」
どれも現実でははかれないものばかりである。
どのページにも詩と共に素朴な猫?(私は心の中で“ネコニンゲン”と呼んでいる)のイラストが添えられている。
その“ネコニンゲン”が何をはかるにしても、いじらしく、哀しく、愛おしい姿で描かれているので、詩がよけいに心に染み入る。
目の前に広がる世界は、私たちの主観ごとに無数にあり、一人一人固有で共有できるものはわずかである(というかほとんどない)。
一人一人ちがう物差しを持っているから、誤解やすれ違いはよく起きる。
いつも、だれも、どんな時も、その“違い”を理解し、楽しめればいいのだが、そうもいかないことがほとんどである。
かわいい本だが、ずしりと重く、心に刺さる。
読んだ人の感性を問われる本だけに、感想を書くのがとても難しい本でもあるが、読んだ人がどう反応するか楽しみな本でもある。
親しい人や励ましたい人へプレゼントを考えている方がいたら、ぜひ手に取ってプレゼント候補にして欲しい。