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寒い日には
寒さが厳しいと、何故か小豆を焚きたくなり、赤みそが食べたくなるのは私だけだろうか。
というわけで、おいしい牡蠣と大粒あさり(最近魚類は近場の市場で取り寄せている)で味噌煮込みを食べたくなった。私は中部地方には住んだ事がないので、土手鍋とか味噌煮込み系はそんなに食べた事はない。旅行で味噌煮込みうどんを2度ほど食べただけだ。私の普段つかいの麦と言えば粒粒のある麦みそ使いなのだが、寒さが身に堪えると何故か赤みそ(八丁味噌)が食べたくなる。今回は八丁味噌に京都の白みそ(西京みそ)を買って土手鍋風にすることにした。そして、〆にはうどんをなるべくコシのない状態にして、(この頃はどうもコシのある讃岐うどんは好きではなくなった)鍋に投入して、九条ネギを鍋からあふれるくらい山ほど加えたかった。うどんを食べているというよりか、口の中が九条ネギだらけになるくらい、ネギまみれになりたかった。ところが、思ったほど九条ネギが冷蔵庫になかったのは残念だった。もっと入れようと思えばできないことはなかったが、翌日も鍋にする予定だった、少しは残しておかねばならなかったのだ。
(その鍋の主役はくえと千寿ネギ)
それで、味噌煮込み鍋の横では、昼過ぎから支度を始めた小豆がいい加減で煮えていた。小正月に小豆粥を作った時に封を開けた小豆が残っているので、この堪える寒さには小豆をコトコトと焚いて、翌日の朝、この小豆に砂糖とちょっぴりの塩を加え餅を焼いてぜんざいを、朝起きたての寒さとひもじさに、ガタガタ言っている胃袋に流し込んで労おうと思ったのだ。
案の定翌日は、ぜんざいを食べる喜びを思ったら、早くに目が覚めてしまい、既に起きて朝活(4時半)を始めているネコ娘に餌をやり、再び暖かい布団に戻って、世の中のニュースをチェックしていたら、ウトウトと眠たさに誘われて、キムタクと菜々緒とレジャーシートを敷いてオリンピックの会場となったどこかの大きな交差点で競歩を見るというわけのわからないオチの夢まで見てしまった。
肝心なのはそこの話ではない。
そして夢から覚め、さてと起きて煮えた小豆に砂糖で味をつけようと思った瞬間、私の目の前に小豆色の粒粒の乾燥した豆の入った保存ビンが見える。。。。いや、小豆なら昨日焚いたはず。
煮えたかどうか確かめた時に、小豆にしては粒が大きいなあと、ちょっと不思議だったよな。
まさか!
その、まさか!である。
わたしは、キドニービーンズと小豆を間違えて焚いていたのである。10分後にはぜんざいを食べているはずなのに、それは数時間後の話となってしまった。大きくショックを受けた。それは、アルゼンチンまで深く落ち込んだ穴だった。キドニービーンズといっても金時豆と一緒ではないか?見た目はね。これに砂糖を入れてしまえばぜんざいでよろしいのではないか?そんな悪魔の妥協案が脳みその中にちらつく。いや、キドニービーンズはキドニービーンズでチリコンカンをつくるのにちょうどいい。ちょうど、チリコンカンも食べたいと思っていたから、それ用に冷凍保存をしておこう。
それからは早かった、キドニービーンズを焚いた鍋を小豆に譲るべく、さささと別の容器に移し替え、今度は間違えないと、小豆色に輝く小さな粒粒を洗って、鍋に入れて水を注ぎ火をつける。
おお、なんと立ち直りの早い事!たしか、さっきはアルゼンチンまで穴を掘って落ち込んでいたではないか?アルゼンチンはどうした!?穴ってどこにある?というくらいの立ち直りの速さではないか!以前だったら、こんなに早い立ち直りはなかったぞ!
成長したじゃないの!!賢くなったなあ、密かに自画自賛してみる。
でも、よく考えてみると、わたしはあと8か月ほどで還暦を迎える。人生60年生きてこの程度の成長か、まあ、よいではないか。
そうこうするうちに、もうすぐ念願のぜんざいが食べられるのだから。