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厄年と天中殺が同時にやってきた(厄年編)

丁度彼岸の入りを迎えたころ、私としたことが手をフライパンの柄に引っ掛けて、とっさに身をかわしたまでは良かったが右手が残ってしまい、指5本にアツアツの油がかかるという大惨事を引き起こした。すぐさま洗い桶に残っていた水(野菜を洗ったあと)に手を冷やし、暫くして冷凍庫にあった保冷材をきれいな水を張ったボールに入れて、手を入れ替えた。

とにかく、油なものでお湯の時とは比べ物にならないくらい(いや、お湯だって十分に熱い)温度も上がっているし、皮膚の痛さは極まりなかった。とにかく、痛いとしか言葉は出てこなかった。幸いだったのは油が少量だったこと。いや、少量でも非常に熱いし半端ではない痛さだ。

私の大声に何事かと思った旦那が、キッチンにやっては来たが全く意味不明な顔をして突っ立っているだけだった。とにかく、ガスを消してもらい床に転がっているフライパンをガスコンロに戻してもらう。フライパンは底が床面に接地して落ちていたので、フロアシートが剝がれてしまった。(キッチンは1年半前にリフォームしたばかりだった)

『あーあー床が剥がれちゃったよ!』

ってそっちかい!まずは、大丈夫か?の確認ではなのか?

まあいい、この男はそういう男だ、だから腹は立たない。それより、食事の支度を始めると、キッチンの様子が気になって仕方がないネコ娘が傍にいなかったのが幸い。あの子に油がかかっていたら、イナバの白うさぎならぬ、「火傷を負ったネコ娘」なんて、悲劇過ぎる。キッチンに入ってきて、そこら中に油で足跡つけられたら堪らん!

自主的に雑巾で床にまき散らされた油を拭こうとする旦那に

『そんなので、拭いたって駄目!』と鬼のような形相で(きっとそうだったろう)言い、(役に立たない奴には)ネコ娘監視役を言い渡した。その件があって以降旦那は声をかけて来なくなった。非常にそれは助かった。いてもいなくても、いや、いない方が助かるのだ。

床にこぼした油の処理は、どうした事か頭の引き出しからでてこない。まあ、大量ではないので新聞紙で吸わせておいた。こういう時古新聞は役に立つ。隣で旦那は新聞紙なんてと呆れて馬鹿にしてたけどね。

とにかく、どの程度の火傷になるのかは、まだ水ぶくれができていない時点で全く想像がつかなかった。とにかく、最低でも30分は冷やしておこうとだけ思った。

私の痛そうにする姿を仕方なく見ていた旦那が、

『じゃあ、病院にいくか?』と聞いてきた。

『この時間だから病院はもう閉まっている!応急処置をして明日朝イチで行くからいい!』

全く、意見の一致をみない。

冷やした後は、何かを塗る!さて何を塗るんだろう。。。。。ここで、私はネットで検索をする余裕を見せていた。左手は無傷なので使える。

言い忘れたが、その時着ていた化繊の長袖のシャツとパンツには1滴も油はかからなかったのが不幸中の幸いとでも言っておこう。時間も20時近かったので、もし、洋服に油が直撃していたら、すぐさま救急車を呼んだだろう。

話を戻すが、ネットで火傷の処置を検索したら、冷やした後は、〇ロナイン軟膏と書いてあった。そうか!旦那に聞いたら、なんと〇ロナインを持っていた。自分の部屋から出してきたものを私の目の前に置いてくれた。

しかし、私はそれを使うのを躊躇った。これは、旦那が水虫の治療で使っているのではないかと思ったのだ。きっとそうだろう。勿論軟膏は自分の指に出してそれで水虫に塗っているとは思う。直接水虫に塗りたくってはいないだろう。そこまで馬鹿だとは思いたくない。

念のため看護師をしている近所の友達に電話して聞いてみた。その友達は、整形外科の看護師というのに火傷の事を聞いた。結果はやはり〇ロナインでいいのではないかという。〇ロナイン、私が赤ちゃんの頃からある軟膏で、何かといえば塗っていた、擦り傷にも、切り傷にも、タムシにも水虫にも。いわゆる万能薬。これが旦那が専用で持っていなければ有難く使っただろう。しかしやはり、水虫疑惑がぬぐい切れない私は、なにかそれに代わるものがないか一生懸命頭の中で家にあるもので役に立ちそうなリストを出した。目には目を歯には歯をではないが、油には油?幸い良質のエキストラバージンオリーブオイルは家にたんまりとあるし、ココナッツオイルだってあるし。。。。。いやいや、そういう事ではないだろう。

その時!馬だ!と天の声が聞こえた、

馬肉は冷凍庫に最後の1パックがある。もったいないが、背に腹は代えられん!と思いかけたその時、馬油のサンプルがあった!貴重なものだからとっておいたんだった!と、サンプルケースから馬油を探し出してきた。勿論他の混ぜ物は一切ない天然物の馬油。今日はこれを塗っておいて、明日朝イチで皮膚科に行くことにしよう。後日、ヒーリング活動をしている知り合いに聞いてみたら、ミントオイルもよいらしい。ただし、オーガニックでという注釈が付いたが、オーガニックだと思うが北見ハッカオイルというものは家にあった。

いろいろ自分で応急手当をやっている最中、私はあたかも笑い話のようにFBに現在進行中の出来事として、タイムラインに載せてしまうのだった。もう、この頃には痛みもずいぶん引いて、あとはどのくらい水ぶくれができるのか様子を見るだけだったから。酷いところは水ぶくれになり始めていた。

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さて、大惨事のキッチンはそのまんまになっている。誰も片付けることなく、大惨事のままの光景が私の目に映る。雑巾で油を拭こうとして私に速攻で否定された旦那は、無関心を決めてこんでいるようだ。まずは片手でもできる床の掃除からだ。油の上に乗せた新聞紙は適度に油を吸ってくれていた。後で思い出したが、油には小麦粉だ。粉が油を吸ってくれる、そうすると雑巾で油を拭くことよりもずっと掃除が楽になる。新聞紙はインクが床に写らないか心配したが大丈夫だった。ただ、やはり拭き取る時に油が広がってしまった。まき散らした油の量は少なかったので、床の掃除はほどなく終了したが、残るは、両手を使わなければいけないキッチンの水仕事。左手と右手の指先だけで作業をする。どんどん大きくなりつつある水膨れを潰さぬようにだ。刻んだキャベツをラップに包み冷蔵庫に入れる。包丁は簡単に洗えば汚れが落ちるのでささっと洗う。まな板も使わないので洗う。フライパンや出ているものは洗剤であらって、かごに入れる。

そう、家には食洗器というものはない。かなり前にはHOSHIZAKIというメーカーの据え置き型があった。昔は家庭用を取り扱っていたが、今は業務用しかないのが残念で仕方ない。しかし、客人を迎えるではないし、家族も2人と少人数だし、ゆくゆくはどっちかが一人暮らしになるのだから、便利だけど不便な道具は我が家には必要がなくなってしまったのだ。ところが、こんな大けがをするときにはあった方が便利なんだと、この時初めて気が付いた。水ぶくれを気にしながらキッチンに出してあるものを水洗いしてゆく。

やれやれと、リビングに戻りテーブルの上を見て唖然とした。

私が大やけどを負うことになった、その日の夜ごはん。

『ブリカツ』が気に入らない(魚は寿司とかなら食べる)らしく、1切れだけ食べて放置し自室に引き上げた旦那。せめてちゃんと食べろよ!それが大火傷をした私への敬意だ!

残されたブリカツ、(旦那は魚がブリだと認識はなかろう)には罪はない。



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