登山道が分からなくなったけどなんとかなった話 ~対話録19~
※ 雑談調の書き散らし。
先日ね、大野山っていう低い山に登ってきたんだ。
低山登山ね。お手軽でいいよね。
天気も良くて、他の登山者はゼロ。平日だしね。マイナーな山だから、登山道がはっきりしなくてちょっと冷や汗かいた。
あらら、藪漕ぎってやつ?
そこまではいかないけど、分かりやすいところもあれば、これどっちだ?みたいなところもあって、意外と苦労する山だね。登山道から頂上までの高低差はあまりないから、体力的には楽だけど。
山頂はどうだった?
気持ち良くもなんともない。周りは木々で覆われて眺望ゼロ。ただ標識があるだけ。ほら、これがその時の写真。
木漏れ日はステキだね。
まあ、写真で見る分にはね。でも登山中ずっと木々で覆われてて、ちょっと面白味には欠けるかな。登山口の峠のてっぺんが一番景色が良いという……。あ、ちなみに熊とかイノシシには出くわさなかったよ。
そっかぁ。下山はどうだった?
そう、それ。下山はしやすかったけど、うっかり道を間違えてたみたいで。
ええ!?
なんとなくこっちかな、みたいに下ってて、その道自体は割としっかりしてはいたんだけど、出たところは登山口のちょっと下……50メートルくらい離れた、ごく普通のコンクリートの道路。変なところに出たもんだと思ったよ。
まあそれは何より。大変なことにならなくて良かったね。
ホントにね。低山だからといって、遭難しないとは限らないし。登りも下りも、木に巻きつけてあるピンクのテープに助けられたよ。キョロキョロ見渡して、あれを見つけたときの安心感。目印って大事だね。
でも下山は上手くいかなかったんだ?
そうなんだよ。ピンクのテープを伝って行ったのになぁ……。ピストンで、来た道をそのまま戻るだけだったのに、おかしいなぁ。
経験値上がったんじゃない? 方向感覚とか帰巣本能を鍛える能力の。
そうかもね。捨てられて元の家に戻ろうとしている仔猫の気分だったよ。あ、そうそう、これ帰りの道路で見かけたひまわり畑。ほとんどしおれてたけどね。
ああ、夏の終わりって感じがするね。
うん。季節の境目、好きなんだ。
僕も。
そっか。……ふふふ。
なんだい?
いやなんでも。じゃあね。
ああ、気を付けてね。