父が「もしも私達に介護が必要になったら」と話してくれた
珍しく父から電話がかかってきた。
「特に何ということはないけど、お母さんが退院してから丁度1年になるからね。」
とのこと。
去年は母が体調を崩して、一時は認知症や寝たきりも覚悟したのだ。
しかし、すっかり復活して今では一人で電車に乗り買い物へ行くまでになった。
「本当に大変だったけど良くなってよかったよね。介護の準備練習になったかな。」
父が冗談めかして、言った。
そして、更に少し言い淀んでから
「今は元気だけれども、私達も段々と年をとりできないことも出てくる。色んな考え方があるけど、もしも私達が介護の手が必要になったら、あなた達は自分の家族が犠牲になる程手伝う必要はないから」
と、はっきり伝えてくれた。
元気な時は思っていても敢えて言いにくいことだ。
それでも、この時代に何が起こるかは誰にも分からない。
私達子供の家族のことを心配して思い遣った言葉に、思わず涙してしまった。
大好きな父がいつか体が動かなくなることを考えると、本当に辛い。
その時、娘達の手を煩わせたくないという親心に深い愛を感じた。
お父さん、あなたの娘に生まれて良かった。
ありがとう。
どうか元気で長生きしてね。