ヘンゼルとグレーテルとおばあちゃんと父
在りし日のおばあちゃんは、母の付き添いで病院に通っていた。その頃のおばあちゃんは、手押し車さえあればまだ歩ける筋力はあったので、母の手を借りつつ、たまに私も付き添いながら出掛けたものだったのだが。
そんなある日、事件は起きたのである。
おばあちゃん「大変…」
母「どうしたの?」
おばあちゃん「足がワナワナする…」
病院に着いて、いきなりのことだった。
母は冷静に、おばあちゃんをエントランスの椅子に座らせると、もう1度聞いた。
母「足がワナワナするの?」
おばあちゃん「うん」
母「いつから?」
おばあちゃん「病院に着いてすぐ」
先生を呼ばなきゃ!
ふと、足元を見たその時だった。
何か、黒いのがポツポツ落ちてる。
…まさか!?
母「おばあちゃん、足見せて!」
見ると、靴底が取れかかっている。しかもよくよく辿っていくと、おばあちゃんが歩いた通りにそのポツポツは続いているのが分かった。ポツポツの正体は、おばあちゃんの靴底だった。
ヘンゼルとグレーテルとおばあちゃん。
母「靴見てみ。笑」
おばあちゃん「あらま」
その後、床にポツポツと落ちていた靴底は母の手により回収され、靴も新調し、おばあちゃんの足のワナワナは一瞬にして治ったのだった。
問題は、ここからである。
数日前。
父方のババア(事情は話さないが、嫌いなのでそう呼ぶ)が入院先から転院する為、父と母が付き添うことになった。移動開始までの間、2人は待つことに。すると、父がポツリ。
父「何か、足の調子が悪い」
母「足?」
父「うん」
どれどれ、と母は確認していきなり笑った。
母「いやいや、靴底がパカパカしてますやん!」
嘘でしょ、と思ったでしょ?
思ったでしょ?
本当だからね。
父「え、何で!?」
母「こっちが聞きたいわwwwww」
父も、自分の目で確認し大爆笑。応急処置で瞬間接着剤をつけたらしい。
ちなみに、父の靴底はおばあちゃんの靴に比べてポツポツは落ちていなかったらしい。
見たかったな。
ヘンゼルとグレーテルと父←
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