おばあちゃんの話
母の母であるおばあちゃんは、ハロウィーンという死者が蘇る日に亡くなる高等テクニックを見せたハイセンスな人である。
おばあちゃんはホワンとした性格の人で、食べることが大好きだが、料理があまり得意じゃない。
母曰く、子供時代の献立が週5日野菜炒めだったことがよくあったらしい。
そんな、おばあちゃんがかつて作った献立の一部を紹介。
①ハンバーグ
おばあちゃんが作るハンバーグには、ひき肉や玉ねぎなどの基本的な材料に加えてニラが入っている。
あら?餃子だったかしら?
今晩のおかず。
ってくらいニラが入っているのだが、一般的なハンバーグのようにソースとケチャップを混ぜたものをつけて食べる。意外と、これはこれで美味しかったりする。
食べてみたい方は、餃子のタネだけを焼いてソースとケチャップをつけて食べてみて下さい。
②カレーライス
とにかくシャバシャバ。
断じてスープカレーなんて良いものではなく、カレー色の湯に野菜が浮かんだ全く別物と化した料理。
③クリームシチュー
これもまた、シャバシャバ。例えるならクラムチャウダーくらいのシャバシャバ具合だが、こちらも断じてクリームシチューやクラムチャウダーなんて良いものではなく、シチュー色の湯に野菜が浮かんだ全く別物と化した料理。
カレーもシチューもルーの量は通常より少ない量で。そして、じゃがいもがないときは里芋を入れてみよう。おばあちゃんは、同じ芋だからという理由でよくこの手口を使っていた。
それを知らないで食べるカレーライスやクリームシチューの芋がじゃがいもじゃなかった時の衝撃たるやこの上なし。
インド人もびっくり。
④ブリ大根
ただただ豪快。
おばあちゃんは、ブリの切り身をそのまま切らずに入れる。
包丁で切れ?何をおっしゃる。
歯で食いちぎらんかい。
とまぁ、こんな具合で個性大爆発な献立を作っては我々の度肝を抜いてきたおばあちゃんだが、晩年は認知症になったのもあって、料理はせず、母が用意するご飯を食べムラが時にはあるが、美味しそうに平らげていた。だが食後、
私「おばあちゃん。晩ご飯、何食べたっけ?」
と聞くと、その時テレビに映っていたものが上書きされてしまって、
おばあちゃん「どら焼き!」
と素っ頓狂なことを言い出すことが多々あった。
残念でした。海鮮丼です。