ど素人のわたしがタロットを商業出版するまでのお話。
2021年6月3日にヴィジョナリー・カンパニー様から「むぎのタロット」を出版していただきました。
出版業界にも占い業界にもコネクションはまったくない会社員の私が、タロットを商業出版させていただくまでのお話をまとめました。これから自分のカードを出版したいと考えている人のヒントになれば幸いです。
わたしが出版までにやったこと
カードが出版されるまでにやったことは次の3つです。
1.カードを作る
2.カード・コンテンツを育てる
3.企画をもちこむ
持ち込んで出版するのは一番最後のステップで、それまでに、まずは自分で作りたいカードを作り、そのカードやカードにまつわるコンテンツを育てていたことが今回の出版につながったのではないかな?と思います。
それぞれのステップについてご説明します。
1.カードをつくる
商業出版されたのは2021年6月ですが、カードそのものは2017年から販売していました。当初は大アルカナのみで、自費印刷したものを販売していました。
同人系の少部数のカード印刷が可能な印刷所さんにお願いをして、タロットを自作し、通販などで販売をスタートしました。
利用させていただいた印刷所
ぽぷるす様
カードだけではなく、解説書・箱なども印刷できます。
こちらでタロットを作成した場合、
・最小部数 50部
・大アルカナのみ22枚のセット
であれば、カードだけなら30000円以下で印刷が可能です(2021/07/10現在)。また、カードと同じサイズの解説書も10000円以下で作成が可能です。
プリンターなどで自作する場合に比べれば割高になるかもしれませんが、50000円以下で、まずはあなたが作りたいカードを販売できるクオリティで作成することができます。
あなたが作りたいと思うカードがあるのであれば、まずはそれを形にしてしまうのがいいのではないかな?と思います。
最終的に私は出版社に持ち込みをして、カードの販売に至りましたが、その際にも現物があると、現物のカードを郵送してイメージを先方に伝えることも可能です。まずは自分が作りたいカードを自分のできる範囲の出費で作ってしまうのがいいのではないかな?と思います。
2.カード・コンテンツを育てる
2017年から販売を開始したむぎのタロットですが、当初はまったくといっていいほど売れませんでした。
カードを求めるお客様と私にまったくつながりがなかったからです。
やってみてうまくいかなかった販売方法
・イラスト系の展示などへの出典
・交流会への参加
・占い系の掲示板への投稿 などなど
作成して2年ぐらいはほとんど売れない時期がつづきました。また、この時点で一度とある出版社に「タロット本」の出版企画を持ち込んだこともあるのですが、まったく形にはなりませんでした。
最初につくった50部を売るのに1年半以上かかりました。
ですが、販売方法を考えることで半年で400部程度販売できるようになりました。
ポイントは2つです。
・自分の能力を生かしてお客さんとつながる
・お客さんと継続的に繋がれる方法を作る
それぞれについて説明します。
2-1 自分の能力を生かしてお客さんとつながる
イラスト系やハンドメイド系の展示への出品はほとんど経験がありませんでしたが、webサイトをつかって自分の好きなものを発信していくことや、タロットカードの解釈を自分の言葉で説明することは好きでした。
また、「タロット」で検索をして上位となるサイトはどのサイトもスクリプトを利用した自動占いができるサイトでした。
そこで、オフラインでの展示や販売会への参加をやめ、私のタロットカードをつかったタロットの自動占いやタロットカードの解説がのっているサイトを作り、そこで情報発信をはじめました。
自動占いや、カードの解説の下部にタロットの販売サイトへのリンクを貼り、自動占いやカードの解説を見て、カードを気に入った人がそのまま購入できる導線をつくりました。
この取り組みでカードの売り上げはかなり大きくなり、また、自動占いなどを充実させていくことでサイトを閲覧する人の数も増えました。
2-2 お客さんと継続的に繋がれる方法を作る
「タロットを新しく買う人の多くは、これからタロット占いをやりたいと考える人なんじゃないか」と考えた私は、講座料金にタロットカード料金がふくまれており、現地でカードを配布する初心者向けの占い講座を開講しました。(2020年以降はオンラインでの開催のため、講座料金にカード料金はふくまれておらず、別途カードのご用意が必要になっています)
この講座は毎月2回程度の開講にもかかわらず、人気の講座となり年間200名以上の方に受講していただけました。
また、カードの名前をいれることで、カードの意味のリンクを参照することができるLINE@のチャンネルを作成し、講座に終了後に登録をお願いしました。
こうして、「カードを欲しいと思う人とのつながり」と継続的につながる方法をつくっていくことでお客様を増やしていくことができました。
3.企画をもちこむ
ヴィジョナリー・カンパニー様での出版のきっかけは、持ち込みがきっかけでした。初回の連絡の際に、カードのデータをすべておくり、訪問の際には発売中のタロットカードを持参しました。
その後、ご縁があって出版の運びとなったのですが、過去の持ち込みが失敗して、今回の持ち込みが成功した一番の要因はコンテンツを十分に育てていたことだと私は考えています。
商業出版において、もちろん個人の思いや熱意もとても大切なのですが、コンテンツの世界観がきちんとあること、そしてそれがすでに販売の実績があることは出版を決める大切な条件になるのではないかなと思います。
商品のクオリティが高いことはもちろん大切ですが、いい商品であっても、お客様の目に留まる機会がなければ買ってもらえないのかなとおもいます。
そして、出版を決める企業側としても、お客様とのつながりを作れていて、販売実績や世界観ができあがっている商品のほうが販売の決断が下しやすいのではないかなとおもいます。
ここまででお伝えしてきたとおり、カードに関しては、個人がカードを作成し、販売を開始することは十分可能です。まずは自力でできる範囲でコンテンツを作り、それを育てていくことが大切なのかなとおもいます。
カードを作り切るのは時間もスキルもエネルギーも必要です。「絵が描けない」「時間がない」「まとまったお金がいまはない」など、たくさんのハードルがあるかもしれません。
ですが、「絵はかけなくても、カードのコンセプトを考えることはできる。」「全部のカードの絵を描く時間はないけど、1週間に1枚ぐらいなら描けるかもしれない」など、小さな1歩でもいま現在できることはあるのではないかな?と思います。
私が今回出版させていただけることになった、ヴィジョナリーカンパニー様ではお問い合わせフォームで出版希望についても受け付けておられます。また、カード出版のための講座なども開講されているようです。
世界にはたくさんのカードがありますが、あなたが本当に作りたいカードがあるなら、それを作れるのはあなただけです。まずは小さな一歩からはじめて、実績を積んでいくこと結果が伴ってくるのかなとおもいます。小さな一歩でも動き出したら、見えてくる世界は変わってくるのかなとおもいます。ぜひ気軽に一歩を踏み出してみてください。