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吐き出せない言葉を、
私が写真を撮る理由。
それは、生きてきた証を残したいからだ。
■吐き出せない言葉と虚無感
私は、思いを言葉にするのが苦手だ。
毎日毎日、感じる事も考える事も伝えたい事も
山ほどあるのに、
それらは何一つ言葉にならない。
何一つ吐き出せない。
やっとの思いで吐き出した言葉は
何だか言いたかった事とは違っていて、
そしてそれは正しく伝わらない。
些細な事から肝心な事まで、
吐き出せない思いは胸に溜まっていくばかりで
誰に知られることも無く消えていく。
まるで真っ暗な海の深くに沈んだように
息が出来なかった。
こんな自分が嫌になるばかりで、
虚無感に苛まれるばかりで、
胸が詰まって苦しかった。
確かにあるはずの私の "心" は
誰にも知られること無く、
そして私は
ただただぼんやりと生きているだけ。
そんな人生に意味や価値が見い出せなかった。
助けて欲しい、気付いて欲しい。
そんな言葉さえも出てこなかった。
■"心" を形にする術
そんな靄のかかったような人生の途中で、
私はカメラと出会った。
3年前、高校3年生の12月。
受験が終わったらという約束で、
安いカメラを買ってもらった。
カメラに興味を持ったきっかけは
よく覚えてないけれど、それが始まりだった。
最初はオートモードでも綺麗に撮れることに
感動して、よく分からず撮っていただけだった。
だけど次第に、
オートモードを卒業して
自分の力で撮ってみたいなと思うようになった。
これが、初めて自分の力だけで撮った写真だ。
この時、思った。
写真でならば
言葉になることが叶わなかった思いを、
心をなぞるように丁寧に
間違えることなく伝えられると。
写真という形で、自分の色を足して
生きた証を残せると。
吐き出せなかった、報われなかった思いが
報われるように。
歩んできた道が、残した足跡が
消えないように。
そうやって、今日まで祈るように
"心" を撮ってきた。
■受け取って貰えた "心"
今までで、たった一人だけ。
面と向かって
" 私、貴方の写真が好きなの "
そう伝えてくれた子がいた。
通りすがりに、他人事のように
「凄いね」と呟くのではなく、
私の "心" を模した写真を
大事に大事に受け取ってくれた子がいた。
今までは言葉にしても
伝わらないのが当たり前だったから、
まさか自分の思いが届くなんて
夢にも思ってなかった。
相手からしたら、
何でもないことだったのかもしれない。
それでも
"心" が誰かに届いたことが
真っ直ぐに受け取って貰えたことが嬉しくて、
写真を撮ってきて良かったと心から思った。
自分で見つけるしか無かった
生きる意味と価値を、
人から貰えたのは初めてだった。
■写真を撮る理由
結局、この文章も上手くまとまらなかった。
思いを文字にする事は好きだけど、
終着点が見つからないから参った参った。
だけど最後にひとつ、言いたいのは
写真を撮ることは
私が生きてきた事の証明であり、
私が生きる理由。
それだけだ。
最後まで読んで下さりありがとうございました。