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女々しいブロッコリー

ブロッコリーは女々しい。
ブロッコリーと生活を共にしていたら、なんだかすごく女の子みたいだと思う。

ジェンダーレスや多様性の時代なので、男なのにとか女なのにとか言うことは良くないが本当に女々しすぎて心配になる時がある。

わたしの父や兄は結構なんでもこなす人で、家具の組み立てや壁紙の張り替え、運転も上手で知らない道でも知っているようにスムーズに走ったり、旅行のチケットやホテルもすべて手配する。
とにかく任せておける存在なのだが、ブロッコリーはこれら全てに対応していない。

仕事で切羽詰まって疲れてしまったり、わたしにたくさん怒られた時には両手で顔を覆いメソメソと泣く時がある。この時は本当にいろんな意味で心配になるのとわたしが悪いみたいでもっと泣かせてやろうかと思う。30歳手前の男がメソメソ泣いているのはいかがなものか。

重たい荷物を運ぶ時は、重たいよ〜重たいよ〜と全身で訴えてくる。この時わたしは息子を抱いて聞こえないふりをしてせかせか前を歩く。

突然虫が現れた時は、キャー!と叫ぶ。これは気持ちがわからなくもないが、ブロッコリーはよく俺はイケてる男だモードに入る時があるので、クールぶってるのに叫ぶんかいとなる。

旅行に行った時もわたしが先陣きって搭乗手続きしたりタクシー捕まえたりブロッコリーは本当にただ着いてくるだけだった。


結婚する時は、長髪でひとつに髪を結んで身長も高くスタイルもよく、なんでもスマートにこなすデキる男にしかどうみても見えなかったが、結婚して分かった。中身がポンコツだと。

先日わたしに怒られまたメソメソと言い訳をし始めたのでしびれを切らしたわたしは

「女脳すぎない?なぜそんなに女の子みたいなの?前から思ってたけど本当に頼りなさすぎる」

「昔女の子として育てられたからかもしれない」

はて、また意味がわからんことを言い始めた。
確かにブロッコリーの家族はほぼ壊滅状態でお義父さんにしか会ったことがないが、小さい時の写真をみる限り全然男の子ですし、お義父さんからそのような話しは聞いたことがない。

若干イライラし始めそうなわたしは優しく言った。

「何歳からどんな風に育てられたの?」

「覚えてないけどスカートを履かされたりした」

覚えてないんかい。
覚えてないんだったら影響ないだろう。
ブロッコリーは男3兄弟で、お母さんはブロッコリーが小さい頃に家をでている。
それに男兄弟しかいないのにわざわざスカートを購入する親には見えないしお義父さんも仕事でほとんど家にいなかったと言っているのでそんな暇はないだろう。
それにしても適当な言い訳にも程がある、過去は関係ない、ブロッコリーの性格の問題だ。

しかしブロッコリーが家具の組み立てや旅行の経験がないだけだから仕方ないだろう、教えていって立派な頼れる父親になっていってくれればいいと思ったので、わたしは逐一教えることにした。

チケットの取り方など教えているときに、どこか腑に落ちない顔をしている。

「どうしたの?」

「麦ちゃんができるんだから麦ちゃんしてくれたらいいのになって思ってるけど、それを言ったらきっと麦ちゃん怒るよね」

そうですね、はい、怒りますね。もうとっくに怒ってますよね。

息子を立派な大人に育てるだけでなく、ブロッコリーのことも立派な父親に育てなければならないのか。

ブロッコリーがブロッコリーになってから、しばらく髪を伸ばしてもらっていた。
とうとう以前の長髪だった頃の長さになったので、縮毛矯正をあてにいった。

ご満悦で帰宅したブロッコリー。

縮毛したての髪を結んでいないブロッコリーはふかわりょうとなって帰ってきた。

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