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「乳がん」手術を終えて思うこと

2022年8月8日入院。9日手術。術後5日経過し病室で日記を書いています。

手術当日。手術は朝一番だった。自分で手術室まで歩いて行き、自分で服を脱ぎ、横たわる。すぐにいろんな線に繋がれはじめた。

手術台に上がったら点滴だ。人生で初かもしれない。点滴を1発でなんの迷いもなく入れていた。幼い頃から、点滴をする際はかなりの確率で失敗されてきており、ひどい時は内出血跡が10ヶ所以上で薬物中毒のような腕になってしまったことも。。

私『え、点滴、入ったんですか?』
先生『はい、入りましたよ、痛かったですよね、手術用の点滴は、針が太いんですよ』

あ、いやそーじゃなくて。。って思いつつ、自分では「きっと何度もやり直すんだろうな」と気がそっちにいっていたため、なんの手術の緊張もなく、すぐ麻酔が効き始めていったのであった。

お昼頃、12時30分くらいに目が覚めた。手術は4時間強。強烈に手術した左胸が痛かった。夕方までまた2時間くらい寝た。起きて、一口水を飲んだ。やたら美味かった、生きてるって実感できた。

私の手術は2時間は乳腺外来の主治医が全摘出を行い、その後2時間は形成外科にバトンタッチして、再建手術に移る。乳腺はがん腫瘍を取り除き、その後センチネルリンパ節生検を行う。

(センチネルリンパ節生検:乳房内から乳がん細胞が最初にたどりつくリンパ節と定義され,このセンチネルリンパ節を発見,摘出し,さらにがん細胞の転移の有無を顕微鏡で調べる一連の検査)

術後は、毎日先生が代わりばんこに部屋に診察に来てくれる。私の(温存した)乳頭にきちんと血が巡ってくれるか、手術の傷口に炎症は無いか、腫れてないか、そして形成は胸を綺麗に再現できたか。診ている視点はもちろん違うが、連携して私の治療を診てくれている。完璧なチーム医療。

術後、主治医の先生(女医さん)が病室にきて、「リンパの転移はなかったこと」「手術は順調であったこと」を告げ、傷の部分に軟膏の塗り方を看護師さんに指示して、気がつくといなくなっていた。

先生は、まだ私が術式が決められなかった頃、その理由の一つに不妊治療との絡みを気にしていたのを知ってか「相談してみて」と、AYA世代の乳がん患者の研究をしている教授を紹介くれた。術前の最後の採卵から、術後の移植時期、術後服用する薬との絡みについて、乳がんと不妊治療について、こんなにも親身に相談できる先生が大学病院にいるなんで思わなかった。良い意味で医者っぽくない。がんを体験したような、、痛み、苦しみをわかっているようなとにかく、目が輝いていた女性で忘れられない。私を支えてくださっているチーム医療。最強だ。本当にこの病院で良かったと思っている。

術後5日経っても、抜けない管がある。ドレーンだ。ドレーンとは、体内に貯まった血液や浸出液を体外に排出するための管のことだ。排出されたものを通して、手術した部分の状態を確認し、治癒の具合を見る。

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傷口から10センチほど下のあたりの皮膚を突き破るようにして、二本、長いドレーンが出ていて、排液バッグに接続されていた。傷の部分から出る血液や浸出液は、ドレーンの中を通って、排液バッグに貯まる。貯まった液体は、最初は量も多く、血液の色をしているが、だんだん赤い色は薄くなり、ドレーンを抜くころには、薄いだし汁のような色になる。そして量も減ると、抜いてもらえる。抜けたら退院できるのだ。

1本は2日前に抜けたが、もう1本が結構時間がかかるらしく、まだ抜ける量に至っていない。

コロナで家族でも面会は禁止である。術後すぐ、旦那からのメッセージが入っていた。お疲れ様、から始まるごく普通の短めの内容だ。手術は怖くなかったし、痛みも全然耐えられた。この状況に特別緊張もない。けど、旦那のメールを見て、内容はどうでもよく、理屈じゃ抑えようのない感情が止めどなく込み上げて、涙が止まらなかった。このことだけは全く説明できない。

入院している部屋は16階。毎日景色を見渡しているが、緑もない随分な都会に住んでいるもんだなと改めて実感する。

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悪いところを切除して、生まれ変わったら、田舎に住みたい。と真剣に考えている。旦那も賛成のようだ。

手術は順調だったようだし、もしかしたらもしかして、医者にも見つけられない、目に見えないがん細胞が浸潤しているかもしれないが、今は、気にしてもしかたない。

現在の私の心の叫びとしては、とにかく早く退院して、愛犬の散歩がしたい。旦那と一緒に行きつけのカフェに行きたい笑。日常を過ごしたいのだ。

「小さな幸せ」と感じることも、もしそれが出来ない状況になればなんとしても手に入れたい「大きな幸せ」になり得るものばかり。

人生は良いことも悪いことも含めていろんなことが起こる。そんな中でも「ありがたさや小さな幸せ」はすぐ近くにあるんだってわかった。小さなことにも目を向けながら、毎日を少しでも幸せと感じられたらそれでいいのかもしれない。

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