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#今週の一曲一枚 Different Trains / Electric Counterpoint - Steve Reich 

Different Trains とElectric Counterpointは、スティーヴ・ライヒの楽曲の中でも特に好きだ。このふたつが一緒に収録されたアルバムがある。

Different Trainsを知ったのはいつだか忘れたが、数年前に曲のタイトルと楽曲が一致した。なんとなく、数字をや地名を言うのが印象に残るのと、機関車が走る様子がありありと想像できるな、くらいに思っていたけれど、反戦のメッセージが込められた曲なんだとタイトルですぐに理解した。そうすると、数字も年号のことなんだと分かる。決して明るくはない音楽。特に Ⅱ. Europe - During the war ではどんよりと暗い時間が流れる。なんとなく「天気が悪いのかな」とか思っていたけれど、タイトルの印象を得るだけで人間の怨念が浮かび上がってくるようで怖くなった。Ⅲ. After the war では少しずつ少しずつ希望が見え始める。でも、まだまだ重く苦しい。
機関車や電車は、前進することの比喩で用いられることもある。逆に、『銀河鉄道の夜』なんかはそうだけれど、人間が思ってもみない方向に連れていかれる、というイメージも持っているかなと思う。人が制御しきれないようなスピードで物事が進んでゆく。そんな感じ。

Electric Counterpoint は、打って変わって軽やかな気分になる。この曲は、NHKの「らららクラシック」という番組でトクマルシューゴさんが演奏しているのを観てとてもかっこいいと思った。一人の演奏家が多重録音するというのは、まさに「現代音楽」といった様相だ。DIfferent Trainsの3曲よりも、Electric Counterpointの3曲の方が、3曲の印象やテンポの差が大きいと思う。Ⅰ. FastからⅡ. Slowに切り替わるところは、とても唐突で、でも自然で気持ち良い。中盤からFastの印象ももった低音域が入るのも、DJしてるみたいと言うか、録音ぽい表現で素敵。いちばん最後の終わり方、エレキギターです!っていう音の細さがかわいらしくてなんか好き。

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