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#今週の一曲一枚 安田成美 - 風の谷のナウシカ(2024 ver.) / 銀色のハーモニカ(2024 ver.) (2024)

シングルの発売から40年。それを記念した再録作品。どちらの曲も原曲とは違った雰囲気の、素敵な仕上がりだ。

風の谷のナウシカは、もともと好きな曲だが今回のアレンジには驚いた。リズムがよく分からないイントロ、全体的に静かな音。アレンジには、クラムボンの原田郁子さん、そしてこちらも先日アルバムをリリースしたばかりの角銅真実さんもクレジットされている。

風の谷のナウシカのイメージソングといえば、イントロの出だしとサビの終わりで入る ちゃ〜ららら〜ららら〜 という下降メロディーが特徴だ。と言うか、強烈だ。

でも新しいバージョンでは、これは1回うっすら(オリジナルの音源かもしれない)が入るが、サビの終わりは上昇するメロディーになっている。このメロディーがなんとも2024年らしさを感じさせる。

サビの終わりが上昇していって、希望も感じさせるのに全体として私が感じたのは現在の人間社会への絶望だった。ナウシカが訴えた、自然を、生き物を、そして人同士ただ愛して、尊敬して幸せに生きること。これは実現に向かうどころかどんどん分断が深まっているようにも感じる。

今まであまり注目していなかった歌詞が聞こえてきた。

何故人は傷つけあうの
しあわせに小石を投げて

本当にその通りだ。


細野晴臣さんのリリース時コメントを読んで(最初に聴いたよりも後だった)、私が思っていたまさにそのままを、ご本人も感じていたのかと鳥肌が立った。

そして今、そこに残ったのは音響というよりも、「人はなぜ傷つけ合うの?」という問いであり、それは「安田成美」が時を経て届ける手紙なのだと思っている。

https://hosonoharuomi.jp/news/

風の谷のナウシカは、映画や漫画も含めて、2024年の私たちに突き刺さる内容になっているのかも知れない。

数十年後、ナウシカが教訓めいたものでなく、単なる娯楽となっている社会ができていますように。
そして微々たるものではあるけれど、私もその一端を担っていられますように。

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