夏のホラー淫ク☆リレー企画'24 6日目「まぼろしの友達」 編集後記
私が今回の企画に提出した動画について、お話しします。
動画および「幻想のレビュー」の重要なネタバレ、および「Q」の軽微なネタバレを含みますのでご注意ください。
制作までの経緯
全ての始まりは遡ること1年半前、第二十回博麗神社例大祭でした。
この日に買った凋叶棕の新譜「Q」と四面楚歌の既刊「幻想のレビュー」は、ともに私の琴線をベタベタと触りまくり、かくして私はいつものようにこう思いました。
「まぼろしの友達」で動画作りたい!!!
…でもあんまりいい話思いつかないな、イマジナリーフレンドと心中する話?それはいいけどどうやってそこまで持っていこうか。う~ん…
「幻想のレビュー」で動画作りたい!!!
…でもこれオチが秘封じゃないと成り立たないよな、内容はすごく面白いんだけどなあ。なんかうまいこと淫ク☆キャラに置き換えても成立する終わらせ方あるかな?う~~~ん……
あっそうだ(唐突)
この二つ、くっつければいいのでは???
天才か?
ということで、長くてつら~い動画制作が始まりました。このときは天啓が降ってきたような感覚でひたすら舞い上がっていた記憶があります。お気づきの方はいないとは思いますが、実はこの案は去年のnoteにちょろっと書いてあります。「もしかしたら来年はこれでいくかも」とか言ってましたが、その通りになりましたね。最有力候補はどっかに消えました。
問題だらけの初期案
ですが、そう上手くいくはずがありません。↑のnoteを読まれた方は「なんか違くない?」と思ったかもしれませんが、実際当初の構想は以下のような感じで、投稿動画とはまったく異なるものでした。
全然違いますねクォレハ……
舞台から年齢設定まで異なり、ONDISKという完全没キャラまでいます。
当初の予定では、ONDISK中心のパートにホラー要素を丸投げするつもりでした。例えば村に残る生贄の風習について調査させるなどして、”そういう”ホラーに見せようとしていました(これがミスリードになるわけですが)。
しかし、これではホラー要素が限定的になるのではないかと思いました。というのも去年のホラーリレーでは恐ろしい怪異が大量発生しており、彼らはもれなく私のところにもやってきたからです。もちろん私自身ホラー要素が薄かったことは自覚しているので、今年はもっとわかりやすくしたいという気持ちがずっとありました。
とはいえ、このシナリオを維持したままホラー要素を強めようにもどうしたものか。結局この動画のオチは今と同じなので、ONDISKのシーンを増やすということは、ただただミスリードとなる、いわば無関係なセクシーシーンを増やすだけということになります。つまり根本的に問題を解決するには、物語の本筋からホラー要素を絡めなければいけません。これもうわかんねえな。
困ったことに、この考えはそろそろ動画を作り始めようかという4月頃になって私の頭に浮上し、答えの出ぬまま1月半ほどその場に居座り続けました。当然その間は編集ができないわけで、そのせいで制作が大いに遅延しました。この遅れが締切直前まで尾を引くことになります。
こうして1月半の間、タドコロナに罹ったり例大祭に行って淫夢之一太刀と盛りあったりしながら来る日も来る日も動画のことをひたすら考え続け、なんとか今のシナリオをひり出しました。結果的には変えて良かったと思っています。当時のシナリオのまま突き進んでいたらどうなっていたか、憶測でしか語ることができませんが、まあおそらくは去年みたいになってたんじゃないですかね…?
ニコニコ、陥落
脳内でシナリオを確立し、ようやく制作開始にこぎつけたものの、進捗は芳しくありませんでした。当初の構想では25分程度の動画になるだろうとし、1週間あたり4分進められればいけそうと考えていました。この時点でかなり無茶なのですが……
それからしばらく時が経ち、進捗としては8分程、梅雨に入って間もない頃に、それは急に訪れました。ニコニコ動画の鯖落ちです。サイバー攻撃を受けたとの情報がありましたが、この時点では何てことはない障害で、1日もすれば復旧すると、そう思っていました。しかし待てど暮らせど一向に復旧の気配もなく、不安が少しづつ増幅してきていたところに大本営発表。
あれ、これかなりまずいんじゃ……
まずかった。
運営から告げられた現状は、復旧まで1ヶ月以上かかる、つまりどんなに早くても7月中旬以降になるというものでした。これの意味するところは、最低でも1ヶ月間は素材集めもままならないどころか、淫夢が見られないということに他ならず、未曽有の危機にホモたちは陥りました。当時はRe(仮)に淫夢動画がまったくなかったのもあって、僅かに淫夢要素が感じられる動画を植民地とし、堪え難きを堪え、忍び難きを忍ぶ日々が始まりました。
……しかし一方で、締切に喘ぐ投稿者にとってはこれは蜘蛛の糸とも呼べるものでした。ニコニコ動画のダウンに伴って、リレー企画の開催延期も決定的だったからです。これはもしかすると、もしかするかもしれませんよ…?
復活!そして完成へ……
かくして思わぬ形で舞い込んだ猶予を、上手く使えたかといえば使えていません。素材集めについてはそこまで苦労しませんでしたが、問題はモチベーションでした。これまでとは一転時間はたっぷりあるものの、このままニコニコが永久に復旧しないとも限らず、なかなか編集をする気力が湧きませんでした。そうこうしているうちに……
復活ッ!!!!!!!!!!!!!
というわけで、ニコニコの復旧は8月5日に決定しました。最終的にリレー開催は2ヶ月延期されることとなり、締切も相応に延びました。動画編集が徒労に終わる可能性がなくなり、ようやく私は編集のモチベを取り戻しました。そして進捗はというと、6月頭の8分からほぼ変わっていませんでした(は?)。
企画から正式な締切日も発表されて一気に遅刻が現実味を帯び出し、それからは寝る間も惜しんで編集を続けました。作っていくうちにどんどん動画時間は伸びていき、結局いつものように締切間際になって必死に追い込む羽目になりましたが、延期がなければほぼ100%落としていたはずなので、ある意味サイバー攻撃に助けられたかたちになっていて非常に複雑な気分です。来る最終締切の日、私は満身創痍の状態で、いくつかの細かい編集ミスを泣く泣く無視して真夜中に動画を投げつけました。あとはひたすら祈るのみ……
原作の紹介
さて動画の話は一旦置いておいて、ここで原作の宣伝タイム♪とさせてください。(このために動画作ってると言っても過言では)ないです。ちなみにどちらも今月20日の例大祭で頒布されるそうなので興味があったらぜひとっくに終わりました。遅筆にもほどがあるのでは…
「Q」 by凋叶棕
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=1926299
いつもの凋叶棕です。動画タイトルにもなっている「まぼろしの友達」はこのアルバムに収録されています。アルバム自体のコンセプトは、すい星のように現れ、そして消えた、謎のミステリー作家をめぐる物語というものですが、まあそれは特に関係なく、曲単体の歌詞のみから着想を得ています。
中学生のNYNとICGが登場し、NYNが実に身勝手な理由でICGをあの世に連れ去るというストーリーはこの曲からもらっています。
モロモロの事情により動画では曲の前半部分しか使っていません。フルで聴きたい方は、先日Qのサブスクが解禁されたのでそちらからどうぞ。ただ、少しでも原作に興味がある方や、他の曲も聴きたいなとなった方は、メロンブックスなどで実物のCDを手に取っていただくことを強く推奨します。というのも凋叶棕の作品はQに限らずみなブックレット等と一緒に聴くことでより楽しめる仕組みになっているんですよね。毎回言っていますが、私の動画がきっかけで凋叶棕のCDが1枚でも余計に売れてくれればそれ以上に嬉しい"評価"はありません。そしてゆくゆくはそこのあなたもこちら側に周っていただければ……ね?(頼むよ~)
「幻想のレビュー」 by四面楚歌
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=1461743
もうひとつの原作です。私にとってはいつもの四面楚歌ですが、こと動画にするのは初めて……と思わせて実は2回目だったりします。こちらは秘封シンポジウムで行われた朗読劇をもとに書かれた小説ですが、これ単体でちゃんと完結してます。見た目通りの秘封小説で、蓮子視点で話が進む、ジャンルとしてはミステリーに近い一冊になっています。
今回の動画の、NYNがICGを殺したかと思ったら何事もなかったかのように同じ場所に戻っている…という流れはこの小説の内容そのものです。NYNが蓮子、ICGがメリー(?)に対応しています。ループに見せかけてループじゃないというのも。これはかなりホラーチックなんじゃないかと思い、そのまま採用しました。何食ったらこんなの思いつくんだろ…
ただまあ違うところもたくさんあって、まずこの小説では蓮子は普通に生きています。また、蓮子が殺しを繰り返していた動機は実に幻想郷らしいものとなっています(詳細はボカしますが、私の動画とは全然違うということだけ言っておきます)。この辺をそのまま動画で使うことはできなかったので、やむなくNYNには事前に死んでおいてもらいました。ついでにICGにも。というように決して原作のストーリーそのまんまというわけではないので、この動画で少しでも興味が湧いたという方がいればぜひ読んでみてください。秘封についての最低限の知識は必要かもですが、まあ多少はね?
小ネタ等
ここからは再び動画の話。動画に埋め込んだ小ネタをいくつか解説していきます。割とコメントで拾ってもらっていてありがたい限りです。
時系列の話
この動画は、現実パート(相手は偽者のICG)と回想パート(相手は本者)が交互に来る作りとなっています。少し混乱した人もいたと思いますが、ただ交互になっているだけでどちらもパート内での時系列は保たれています。私の中では回想パートが大体15~20年ほど前で、現実パートはそこから現在に至るまで数年おきにやってきているというイメージです。
これを示唆する表現としては、回想では「無印ウリ狂」が上映されているのに対して、現実では「ウリ狂2」が上映されているという点があります。また、半ドンという言葉は時代を示す一番分かりやすい例です。物語も終盤に差し掛かっている場面だったので大胆にいきましたが、案の定コメントがとても盛り上がっていてくれて狙い通りですね、ええ。
相違点の話
偽ICGズはNYNフィルターを通してICGに見えているだけなので、当然ICG本人とは何もかも異なります。本人は門限が厳しく、カラオケや映画館などは禁止、誰かを家に招くのは言語道断という縛りがあります。一方で偽ICGたちは、これらの禁止行為を何かしら破ってしまっています。動画が進むにつれてだんだんと違和感を覚えるつくりにしたつもりでしたが、まさにそういったコメントがいくつも見受けられてニチャニチャしています。
関西弁の話
これはコメントで結構言われていたネタですね。ICGが「待ってや~」と発言しているシーンです。本当は「待ってよ~」と書きたかったところをタイプミスした、と思わせておいてこのICGの正体がTISだという伏線を張っていたのですが、そもそもICG姉貴は関西人だということで納得されていたのが面白かったです。
台詞枠の話
今回の動画も自作の鏡面メッセージウィンドウを使用しました。これは22年の夏に思いつきで作ってそれっぽい演出を入れてみたところかなり反響が大きく、以降ほぼ毎回のリレーで多用しているものです。とはいえそれ以来反射を利用した演出は入れられていなかったのですが、今回はおまけ程度に入れてみました。ここでは明かしませんが、よければ探してみてください。と言ってもコメントで既にバレてるけど。
他にも駅のシーンで使用した南佳也駅の素材は22夏で作ったものをそのまま使用していたり、同じアナウンスを流していたりと色々小ネタはありますが、きりがないのでこの辺で。
あとがき
まずは評判のお話から。色々とありましたが、とにかく今回の動画はかなり高評価を頂けているようで何よりです。私自身こんなに上手くいくとは微塵も思っていなかったので驚いています。沢山のコメント、マイリス、いいね、広告等、本当にありがとうございます。特に巨額広告兄貴たちのおかげで、執筆時点では今季トップの再生数を稼いでいるみたいですね。ありがとうございますやでほんま。去年のリベンジを果たせて嬉しい反面、(あるかわからないけど)次回以降のハードルが上がってしまったなあとも思います。安定して面白い動画を作れるようになりたい。
つぎに反省会。細かい編集ミスなどは認知しているだけでも結構ありますが、何よりもとにかく後悔していることがひとつ。
EDで歌詞書けばよかったああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
…というのも、歌詞に触れてくれているコメントがほとんどないんですよね。当然といえば当然で、そりゃ大多数の人にとっては知らない歌がいきなり流れて、その歌詞を耳だけで判別してコメントするなんてとてもじゃないけど無理な話です。でも今回は特に歌詞と動画の内容をマッチさせた自信がありました。だからこそ歌詞なんか書かなくても意外と拾ってもらえるかな~なんて期待していたのですが、まあダメでしたね。悲しいなぁ…
そして今後についてですが、正直まったく予測がつきません。実生活もそうですが、それ以上にこの世界では最近いろいろありスギです。ニコニコの復活はありがたいものの、その代償かホモコーストの再来とも言われる規制強化、某投稿者の失踪に端を発した創作活動の萎縮、無関係なセクシー男優降臨による動画自主削除……と逆風は枚挙に暇がない中で、例年通り冬リレーが開催されるかもわからず、来年の夏リレーも100%あるとは言えない状況です。そういうわけで私も動画制作を続けられるかはわかりません。数か月後には何事もなかったかのように動画編集できていればいいんですけどね、私も周りの投稿者たちも。
とはいえ、私の想いは一つです。EDコメントにも書きましたが、誰か私の代わりにてぃあお淫夢を作ってください。お願いします。泣いて喜びます。
では最後に。
本当にありがとうございました。またどこかで。
……やっぱりもう一つだけ、こんなご時世だからこそ言わせてください。
人目気にするな 自由に創作しよう
以上です。長々とお付き合いいただきありがとうございました。
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