晩節を汚すとこまでは描かれていませんが傑作、横山光輝「項羽と劉邦」
2016-04-11
自炊した横山光輝三国志、60巻を読み終えて、最近は横山光輝「項羽と劉邦」を読んでいる。内容が「史記」と被っていて存在意義が薄くなったような作品だが、やっぱり面白い。
知らない人のために一応書いておくと、「項羽と劉邦」は横山光輝の歴史漫画。万里の長城を作ったことで有名な始皇帝の秦と戦うために立ち上がった劉邦と項羽。この二人がやがて中国大陸の覇権を争い、漢という国を作るまでの話。ちなみにこの漢が滅び始めて三国志が始まる。
項羽はマッチョ(よくコイツに戦いを挑めるもんだと思う)。劉邦は頼りない親分。いま劉邦軍50万を、項羽軍3万が打ち破るエピソードを読んでいるのだが、そこで敗走した劉邦が追手を懐柔して逃げのびるというシーンがある。
天下統一の折には軍功第一とまで劉邦は言っているが、懐柔された丁公さんって、この後どうなったのか知らないなあと思って調べてみた。
劉邦が天下統一を果たした後に名乗り出たら殺されちゃったそうです。
理由はよくわかりませんが、ちょっとネットで調べてみたところ、敵の大将を見逃す奴を評価して、他の部下に真似されたらたまらん。と、いうことだそうです。なるほど。それにしてもひどい話だ。
項羽の性格がひどすぎて劉邦を善玉にするしかないんだけど、正義のヒーローというわけでもないんだよな、この人。おバカな所が人を惹きつけ、最強パーティーを結成。その辺は少年漫画の主人公の基本を押さえているけど、魔王を倒して世界を平和にしたら猜疑心の虜になって、仲間の僧侶や魔法使いを殺していくという。。。その辺は「史記」で読めます。
晩節の汚しっぷりは豊臣秀吉に通じるね。だから三国志の劉備が天下を取ったとしたら、孔明とかも殺されてたかもしれないね。
子供の頃読んでいて意味わかんなかった本宮ひろ志版・項羽と劉邦の「赤龍王」のラスト見開き。本当に面白くなるのはここからだと思うんだよなあ。